原料図鑑 · 46
原料図鑑:ユーカリ油(Eucalyptus globulus oil)— 同じ植物名でも、中身は十倍違う
· 8 分
CAS 8000-48-4。ユーカリ油はユーカリプトールの別名ではなく、産地、葉齢、部位で組成が変わる天然混合物です。1995年研究の葉油では1,8-cineoleが4.10–50.30%、2023年の一試料は63.1%、欧州薬局方の医薬用ユーカリ油は70%以上を規定します。129社、高強度でごく短命。遮熱遮光し密封保存。
カタログでは eucalyptus oil と eucalyptol が隣り合い、正式名と略称のように見えることがあります。実際には前者が天然精油、後者が単一分子 1,8-cineole。取り違えると、香りだけでなく規格と保存判断までずれます。
先に要点
- 「Eucalyptus globulus」は植物種を示しますが、組成までは示しません。1995年に産地、葉齢、部位を比較した研究では、葉油の 1,8-cineole は 4.10–50.30%。2023年に分析された市販試料は **63.1%**でした。
- 欧州薬局方の医薬用ユーカリ油は、cineole に富む材料を蒸留・精留して作り、1,8-cineole を 70%以上と規定します。これは定義された薬局方グレードで、香料用 E. globulus 全般の説明ではありません。
- 強く、速い油です。データベースの持続記録は4時間未満。アルコールに溶け、水にはわずかに溶けます。引火点は約48.9 °C。冷暗・乾燥・密封保存です。
基本記録
| CAS | 8000-48-4 |
| 種類 | 天然精油、多成分混合物 |
| 植物 | Eucalyptus globulus Labill. |
| 香調 | ユーカリ、カンファー、ハーバル、薬品様 |
| 香調分類 | herbal |
| 強さ | 高(10%以下で評価) |
| 持続性 | 4時間未満(データベース記録) |
| 外観 | 無色から淡黄色の透明液体 |
| 沸点 | 約175 °C @ 760 mmHg(混合物の記録) |
| 引火点 | 48.89 °C |
| 比重 | 0.905–0.925 @ 25 °C |
| 屈折率 | 1.458–1.465 @ 20 °C |
| 水への溶解度 | 微溶;332.1 mg/L(推算) |
| その他の溶解性 | アルコール、流動パラフィンに可溶 |
| 推奨保存 | 24か月以上;冷暗・乾燥、遮熱遮光、密封 |
| 収載名簿 | FEMA GRAS |
天然精油に単一の分子式や分子量はありません。表の沸点、引火点、溶解度も代表的な商品記録で、全収穫物が同一という意味ではありません。各ロットは供給業者のCOAで判断します。
同じ木なのに、なぜ数字が違うのか
1995年、Chalchat らはモンテネグロ海岸とスペイン東岸の E. globulus を分析しました。葉だけでなく、裸枝、花芽、成熟果実も採取しています。葉油の 1,8-cineole は葉齢と産地によって4.10–50.30%、α-pinene は0.05–17.85%、p-cymene は痕跡–27.22%、cryptone は0–17.80%、spathulenol は0.12–17.00%でした。
部位を変えると、また別の組成になります。果実、花芽、枝の油に含まれる 1,8-cineole はそれぞれ15.31%、36.95%、56.96%。「ユーカリ・グロブルス油」は固定処方ではありません。部位、成熟度、環境、工程が分析値に残ります。
Čmiková らが2023年に調べた試料は、1,8-cineole 63.1%、p-cymene 7.7%、α-pinene 7.3%、limonene 6.9%。多くの人が知る、涼しく浸透性があり薬品的なユーカリ像に近い組成です。それでも一試料であり、植物種全体の保証値ではありません。
薬局方が70%と書く理由
欧州医薬品庁の評価報告が引用する欧州薬局方では、医薬用ユーカリ油を cineole に富む E. globulus、E. polybractea、E. smithii から水蒸気蒸留と精留で得た油とし、1,8-cineole 70%以上を求めます。
大切なのは「精留」と「完成品規格」です。すべての葉が自然に70%以上を蒸留するという主張ではなく、どの完成油がその医薬原料に該当するかを定義しています。香料業者の Eucalyptus globulus oil は未精留かもしれず、別の cineole 規格かもしれません。植物名だけでは最重要項目が抜けます。
嗅ぐとき
- 1–5%から。高濃度では涼感と薬品感が、乾いた草、木、柑橘皮の縁を覆います。
- 単離した 1,8-cineole と並べます。単体はより清潔で直線的。精油は α-pinene、p-cymene、limonene などにより松、柑橘、暖かい木の端を持ちます。
- 開始を担当し、終わりは担当しません。4時間未満という記録は、空気を開くトップには向くが、ベースを支えない理由をよく示します。
- 森林や薬草調では、少量を松葉、ローズマリー、ラベンダー、木質へつなぎます。多すぎると全体が洗剤の連想に寄ります。
購入と保存
最低でも植物学名、抽出部位、1,8-cineole 含量を求め、精留の有無も確認します。薬局方グレードが必要なら、該当規格とCOAを備えた製品を購入し、香料ラベルから適合を推測しません。
アルコール可溶でも、水にそのまま入るわけではありません。透明な水系製品では可溶化試験が必要です。引火点約48.9 °Cなので、着火源と高熱を避けます。冷暗乾燥、遮光密封。大瓶を何度も開けず、作業量だけ小分けにします。
法規と安全
データベースには FEMA GRAS を収載。食品名簿、薬局方品質、皮膚処方の安全性は別々の質問で、互いに代用できません。皮膚用・消費者製品は現行IFRAスタンダード、SDS、アレルゲン情報、完成用途の規則を確認します。
→ データベースのユーカリ油:全物性、129社、推奨の組み合わせ。 → 香調で検索:「ユーカリ カンファー ハーバル」。
参考文献
J. C. Chalchat ほか, Chemical Composition of Eucalyptus globulus Oils from the Montenegro Coast and East Coast of Spain, Journal of Essential Oil Research, 7(2), 147–152 (1995). doi:10.1080/10412905.1995.9698489
N. Čmiková ほか, Chemical Composition and Biological Activities of Eucalyptus globulus Essential Oil, Plants, 12(5), 1076 (2023). PMID 36903935. doi:10.3390/plants12051076
European Medicines Agency, Final assessment report on Eucalyptus globulus Labill., Eucalyptus polybractea R.T. Baker and/or Eucalyptus smithii R.T. Baker, aetheroleum — Revision 1 (2024).