はじめての調香 · 50
190 proofか200 proofか——議論しているのは曲線の最も平らな区間だ
· 14 分
r/DIYfragranceに、SDA 40Bを注文したら200 proofが届いた、失敗したのかという投稿があった。スレッドの合意は「違いはない」で、しかも200 proofは放っておけば自分で水を吸って191になる、というもの。どちらも裏が取れる。190 proofはエタノール・水の共沸点付近で、200 proofにするには工程が一つ増えるので高い。エタノールが吸湿するのは本性だ。ただしこれを実際の溶解度データに載せると違いがもっとはっきりする。全データベースで複数のエタノール濃度の測定点を持つ7本のうち、安息香酸ベンジルは90%で1:2、95%で1:1、わずか2倍しか違わない。同じ材料が45%では1:1000を要する。酢酸ベンジルは30%から60%で40倍。掲示板が議論しているのは曲線の最も平らな区間で、本当に急な場所は完成品の賦香率の側にあり、誰も問うていない。
r/DIYfragranceに、買い間違えた人の投稿があった。
「しまった、Lab AlleyにSDA 40Bを注文したら、届いてから200 proofだと気づいた。200 proofでも調香に使えるのか、それとも失敗したのか。機能上の重要な違いはあるのか。この板で検索したが、あまり情報が見つからなかった。200 proofは蒸発して190になると読んだが、そうなるように仕向けるべきなのか」
返信は速く、しかも一致していた。
「**違いはない。**そう、200は時間とともに自然に約191になる。空気中から直接水蒸気を吸収するからだ。これは実際どうでもいい。私たちが200 proofを買わないのは、たいてい単に値段が高いからで、190 proofとの違いはない。」(beraelen)
「すべてのアルコールは大気から水分を吸収したがる。**およそ5%までだ。**指一本動かす必要はないし、気づきもしない。だから害はなく、少し多く払っただけだ」(CapnLazerz)
「両方使っているが、性能に文字どおり違いはない。」(zenmaster_B)
そしてスレッドには小さな衝突もあって、これは入れておく価値がある。
「アルコールの投稿をもう一つ見たら気が狂うと思う。」(AdministrativePool2)
「🤷 この質問についての情報が見つからなかっただけです、すみません」(投稿者)
「もう6週間ずっとフォーラムを漁っています。」
**今回この題を書く理由は、その最後の一文にある。**同じ板で「190 proof」を検索すると、この問いは2年にわたって少なくとも5回されている。190 proof vs 200 proof、Why 190 proof and not 200 proof ETOH?、Best Ethanol 200 Proof、Is 190 proof better, or 200 proof?、そして三つの選択肢を並べた Perfume Solvent Base Formula。毎回誰かが正しく答えていて、毎回その答えは見つかる形で書き残されていない。
結論から
- 返信は正しく、その理由は調べられる。190 proof(体積95%)はエタノール・水の共沸点付近にある。共沸混合物は通常の蒸留では分離できないので、200 proofにするには工程が一つ増え、その分高くなる。
- **「自分で水を吸う」も正しい。**エタノールは吸湿性で、200 proofは開栓後に共沸組成のほうへ戻っていく。
- **ただし「違いはない」は数量化する価値がある。**全データベースで複数のエタノール濃度の測定点を持つ7本を使うと、安息香酸ベンジルは90%で1:2、95%で1:1、2倍しか違わない。
- 同じ材料が45%では1:1000を要する。酢酸ベンジルは30%から60%で40倍。
- **つまり掲示板が議論しているのは曲線の最も平らな区間になる。**190と200のあいだにはほとんど何もない。本当に急なのは30%から60%、つまり濃縮液を完成品に仕立てる区間で、そこは誰も問うていない。
- ついでにデータベースからの答えを一つ。**エタノールは無臭ではない。**香りの強度欄は「中」、香調欄は「アルコール的、エーテル的、メディシナル」と書いている。
なぜ190 proofが標準なのか
proof は米国のアルコール度数の単位で、体積百分率の2倍になる。つまり。
| Proof | エタノール(体積) | 残り |
|---|---|---|
| 190 | 95% | 約5%の水 |
| 200 | 100% | 無水(anhydrous/absolute) |
エタノールと水は共沸混合物を作る。1気圧下でのエタノール・水の共沸組成はおよそ95.6%(質量)/体積で約97%であり、共沸とはその組成では蒸気と液体の組成が同じになるので、さらに蒸留しても純度が上がらないという意味になる。
2022年、Naidoらが『Ultrasonics Sonochemistry』で水溶液からのエタノール分離技術を概観したとき、この点を端的に書いている。
「従来の蒸留はエネルギー効率が低く、共沸混合物を分離できないという特徴があり、そのため超音波分離のような新しい代替手段が分離技術を進めるために探索されてきた」
あの論文の主題はバイオエタノールの下流分離で調香とは無関係だが、立てているのは同じことになる。共沸点を越えるには蒸留以外の手段が要る(モレキュラーシーブ、共沸剤、膜分離など)。
これが200 proofが高い理由であり、返信の「少し多く払っただけ」の完全版になる。
「自分で水を吸う」
エタノールは吸湿性がある。無水エタノールは空気にさらされると水分を吸収し、共沸組成の方向へ動く。
CapnLazerzの「およそ5%まで」は方向として正しい。平衡点は環境の湿度と温度によって決まるので固定の5%ではないが、一般的な室内条件で開け閉めを繰り返す200 proofは、最終的に190台に落ち着く。
そして投稿者の「蒸発して190になるよう仕向けるべきか」への答えは、何もしなくていいになる。わざと開けて放置すればエタノールも同時に失う(蒸気圧は20°Cで44.6 mmHgで、速く飛ぶ)。放っておくか、そもそも気にしないでいい。
「違いはない」を数量化する
前篇(第49篇)で作ったデータがある。全42225件のうち、7本だけが溶解度欄に異なるエタノール濃度の測定点を二つ以上残している。
そのデータでこの問いを見る。
曲線の高濃度側(つまりこの議論の場所):
| 材料 | 濃度の変化 | 必要な溶液の量 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 安息香酸ベンジル | 90% → 95% | 1:2 → 1:1 | 2× |
| バニリン | 70% → 95% | 1:3 → 1:2 | 1.5× |
曲線の低濃度側:
| 材料 | 濃度の変化 | 必要な溶液の量 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 安息香酸ベンジル | 45% → 95% | 1:1000 → 1:1 | 1000× |
| 酢酸ベンジル | 30% → 60% | 1:200 → 1:5 | 40× |
| シンナムアルデヒド | 30% → 60% | 1:25 → 1:5 | 5× |
**190と200の差は5ポイントで、しかも曲線の最も平らな区間にある。**データベースには95%と100%のあいだの測定点を持つ材料が一つもない。おそらくその区間は測る必要を誰も感じなかったからだろう。
掲示板の合意は正しく、その正しさの程度は測れる。あの5ポイントは曲線上でほぼ水平だ。
本当に問うべきこと
完成品は何度なのか。
EDPの賦香率を20%とすると、残る80%がすべて95%のエタノールなら、完成品のエタノール濃度はおよそ76%になる。さらに水を加えれば(揮発の調整や刺激の低減のために加える処方は多い)、70%を下回ることもある。
上の表を見てほしい。そこがまさに曲線の急になり始める場所だ。
安息香酸ベンジルは45%で1000の溶液を要する。この材料は多くの処方で希釈剤として使われ、量は小さくない。酢酸ベンジルは公開処方954件のうち317件に登場し、中央値の使用量は5.50%。どちらもその急な区間に入っている。
このシリーズは第37篇で「加熱して溶かしたものは冷えると析出する」を書き、第49篇で「水を加えても析出する」を足した。この記事は同じことの三つ目の面になる。あなたの原料瓶の濃度より、完成品の濃度のほうがずっと重要で、掲示板の議論はすべて前者にある。
エタノール自体は無臭ではない
繰り返し出てくるもう一つの問いにも答えておく。同じ板に「エタノールの刺(The bite of ethanol)」というスレッドがあり、返信26件。「Everclearはアルコール臭が強いが、調香用アルコールなら良いのか」というスレッドもある。
データベースの答えは率直だ。
| 欄 | 内容 |
|---|---|
| 香りの強度 | 中(ランク2) |
| 香調 | アルコール的、エーテル的、メディシナル |
| 香りの記述 | 100%で:強いアルコール的、エーテル的、メディシナル |
| 残香 | < 1時間(100%で) |
**強度ランク2、香調に「メディシナル」。**エタノールは背景ではなく、匂いのある材料であり、ただ1時間以内に去るだけになる。
そして残香の欄は < 1時間。このシリーズは > で始まる下限を何度も扱ってきた(Tonalideの > 400時間、ソトロンの > 400時間)。**これが最初の上限になる。**意味は同じで、実際の値は誰も報告しておらず、1時間に満たないことだけが分かる。
蒸気圧は 44.6 mmHg @ 20°C。このシリーズが扱った材料と比べると、ヘキサナール10.888、DPG 0.0319、TEC 0.000175。エタノールは最速の香料より4倍速く、TECより25万倍速い。
**だから「開幕の刺」は本物で、1時間以内に消える。**これが熟成(マセレーション)が繰り返し勧められる理由の一部でもある。熟成が変えるのはエタノールの離脱だけではないが。
肌の上では何が起きているか
2025年、Hadjiefstathiouらが『Talanta』で、香水を塗ったあと表面の上の空気中への放出を測る装置を発表した。
エタノールに溶かした8種の香料分子からなる香水を用い、固相マイクロ抽出(SPME)とガスクロマトグラフィーでヘッドスペースの揮発を測定し、四つの表面で比較している。**化学的に不活性なガラス、Strat-M®の皮膚モデル、香料試験紙、そして実際の前腕の皮膚。**温度制御、時間効果、系の寸法、体積と密閉性、SPMEの最適化を検討した。
論文の結論は、この装置がin vitroとin vivoの双方で独創性、有効性、再現性を示し、香料分子の揮発現象と皮膚の物理化学的性質との結びつきの理解に「有望な結果」を示した、というものだ。
**この論文は190対200 proofも、エタノール濃度の影響も測っていない。引用するのは一つのことのためになる。「香水が肌の上でどう揮発するか」は2025年になってもまだ測定手法を確立している段階にある。**掲示板のアルコールをめぐる議論が決着しにくい理由の一部は、その問い自体が文献でもようやく道具を得たばかりだからだ。
投稿者への答え
- **失敗していない。**200 proofは問題なく使える。
- **蒸発させる必要はない。**自分で水を吸うし、わざと開けて放置すればエタノールも同時に失う。
- **余分に払ったのは共沸点の値段だ。**190 proofは蒸留で安く到達できる位置で、200 proofには工程が一つ増える。
- **その5ポイントは溶解度曲線でほぼ水平だ。**心配するなら完成品のエタノール濃度のほうで、そこが曲線の急な場所になる。
- エタノールには匂いがある(強度は中、アルコール的/エーテル的/メディシナル)が、残香は1時間に満たない。
なぜこの問いが繰り返されるのか
この節は投稿者にではなく、「アルコールの投稿をもう一つ見たら気が狂う」と書いた人に向けたものになる。
同じ板で「190 proof」を検索すると、この問いは2024年から2026年のあいだに少なくとも5回されている。ほかに隣接する問い(どこで買うか、Everclearでいいのか、SDA 40Bとは何か、エタノールの刺、DPGかエタノールか)が少なくとも6スレッドある。
毎回、誰かが正しい答えを出していて、毎回その答えはコメント欄の中に残っている。
投稿者は6週間漁ったと言っている。探さなかったのではなく、答えが見つかる形で存在していなかった。
この記事が示していないこと
- **私は何も測っていない。**この記事はデータベースの問い合わせ、7本の既存の溶解度記録、そして二本の論文でできている。
- **共沸組成の数値(質量で約95.6%)は教科書の値であって、私が測ったものではない。**Naidu 2022が立てているのは「通常の蒸留では共沸混合物を分離できない」という機構で、組成の数値は与えていない。
- **「約5%まで吸水」の平衡点は湿度と温度による。**その定量的な関係は調べておらず、返信の5%は桁として扱っている。
- データベースには95%と100%のあいだの溶解度の測定点がない。「その区間はほぼ水平」は90%→95%の2倍の変化からの外挿であって、直接測ったものではない。
- 7本は全データベースで見つかる全部であって抽出ではない。このデータの限界は第49篇に列挙してある。
- **Hadjiefstathiou 2025はエタノール濃度の影響を測っていない。**引用は皮膚上の揮発の測定がまだ発展途上であることを示すためで、proofについての結論のためではない。
- **規制と購入資格には一切触れていない。**SDA 40B、変性剤の種類、各国で買えるかどうかは別の問題群になる。