はじめての調香 · 47
「ソトロンを手にこぼしたら味覚が鈍った」——まず壊れたのが味覚か嗅覚かを分ける
· 13 分
r/DIYfragranceに、手袋をせずにソトロンをこぼした晩から味覚がおかしいという投稿があった。「舌がコンドームをかぶっているよう」で、感度は8割ほどだという。スレッドの一人が要点を突いている。味覚と風味は別物で、舌が担うのは塩味・甘味・酸味・苦味・うま味だけ、レモンの面は鼻後嗅覚だ。2014年の総説に直接の証拠がある。先天性嗅覚欠損の人は、味覚と三叉神経の感度がどちらも低い。別の一人はソトロンが体に入って何日も自分がカレー臭くなると書いていて、これは米国国立衛生研究所のデータベースが明記している。尿、汗、便まで含めて。そしてソトロンの強度は、全42225件のうち推奨評価濃度が最も低い9本の一つになる。
**先に一言。これは医療上の助言ではなく、スレッドの最後にある一文が正しい。本当に心配なら医者に行くこと。**以下でできるのは、いくつかの主張をデータに当てることだけになる。
r/DIYfragranceに、具体的な状況の投稿があった。
「先週うっかりソトロンを指先にこぼしてしまい、**それと同じ時期に味覚がおかしくなり始めた。**味は分かるのだが何かが欠けている感じで、舌がコンドームをかぶっているようだと表現している。味覚の感度は8割くらい」
「手袋なしでソトロンをこぼした晩と重なっていて、思い当たる原因はそれしかない。手を洗い、アルコールで拭いた。もう数日経ち、指からは匂わなくなったが、味蕾はまだおかしい。何か知見のある人はいますか」
返信は5件。そのうち一つが、この件の要点を出している。
結論から
- **彼が書いている症状は、形として味覚の問題より嗅覚の問題に近い。**スレッドの一人が指摘している。味覚は塩味・甘味・酸味・苦味・うま味の五つだけで、レモン炭酸水を飲んだときの「レモン」は舌が出しているのではなく、飲み込むときに揮発物が鼻後経路を通ることで生じる嗅覚だ。
- これには実証がある。2014年の総説は、先天性嗅覚欠損には味覚と三叉神経の感度の低下が伴い、そうした刺激に対する「風味ネットワーク」内の活性化も弱いことを述べている。嗅覚が損なわれると、測定される味覚も下がる。
- **「ソトロンが体に入る」は誇張ではない。**米国国立衛生研究所の授乳中薬物データベースは、フェヌグリークの項目でこう書いている。最も特異な副作用は、フェヌグリーク中のソトロンが尿、汗、便、そしておそらく母乳にメープルシロップの匂いを与えることだ。
- 強度には具体的な座標がある。当サイトのデータベース42225件のうち、0.01%以下での評価を推奨されているのは9本だけで、ソトロンはその一つになる。
- スレッドで触れられたDMSOのニンニク味については、データベースの香調欄そのものにgarlicと書かれている。
- 私は前回、これに関して誤りを書いた。今回の調査で判明し、遡って訂正した。
味覚と風味は別物
最も価値のある返信はこう書いている。
「ジメチルスルホキシドという溶剤があって、皮膚から吸収されるとニンニクの味を感じるようになる。永久ではないが、しばらく続く。しかもここで言う『皮膚』は、口の近くである必要はまったくない」
「ここで起きているのがそれかというと、私は疑わしいと思う……」
「あと面白いことに、風味と味覚は同じものではない。私たちの味蕾は塩味、甘味、酸味、苦味、うま味を感じる。でもレモン炭酸水を飲むとき、舌はレモンの面を感じ取っていない。飲み込んでいる揮発性のリモネンの鼻後嗅覚が、それをレモンらしくしている。」
「これも、これが舌の問題ではなく匂いの残留だと私が思う理由の一つだ」(AmyloidishChemist)
この一節は正しく、しかも投稿者の問いそのものを書き換えてしまう。
投稿者は「味覚の感度が8割」と書いているが、描写しているのは「味は分かるが何かが欠けている」だ。塩味・甘味・酸味・苦味・うま味が8割になったなら、食べ物が薄く感じられる。「一層足りない」「何か挟まっている」は風味の描写であって、基本味の描写ではない。
そして風味の大半は鼻後嗅覚から来る。
論文は何と言っているか
2014年にGagnon、Kupers、Ptitoが『Multisensory Research』に発表した総説は、味覚と嗅覚の関係について有用な対照を示している。
自分たちの行動研究と画像研究を振り返り、先天性の失明と先天性の嗅覚欠損という二つの状態が化学感覚に与える影響を比較している。
- 先天性失明者は鼻前嗅覚(orthonasal、鼻孔から入る匂い)の感度が高く、視覚を奪われた後頭皮質を鼻前嗅覚刺激の処理に動員する。
- ところが同じ人たちは味覚と鼻後嗅覚(retronasal、口腔内の化学物質を処理するとき)で晴眼の対照群より成績が低く、味覚刺激の処理には後頭皮質を動員しない。
- 先天性嗅覚欠損のほうは、味覚と三叉神経の感度の低下を伴い、そうした刺激への曝露時に「風味ネットワーク」内の活性化も弱かった。
著者の結論は、先天性嗅覚欠損と先天性失明への機能的適応はかなり異なる、というものだ。
**この件に効くのは真ん中の一行になる。嗅覚がなければ、測定される味覚も下がる。**気のせいではなく、「風味ネットワーク」の水準の話だ。
だから投稿者の手に、あるいは彼自身の体にまだソトロンが残っていて、嗅覚を占め続けているなら、彼が測った「味覚が8割」は嗅覚の問題でありうる。
この論文の限界を明記する。比較しているのは先天的に欠損している人と対照群であって、「強い匂いに一時的に占められている人」ではない。「先天的に嗅覚のない人は味覚が低い」から「いま鼻が占められているから味覚が鈍く感じる」へ進む一歩は、論文ではなく私がした類推だ。立てているのは味覚と嗅覚が測定上たがいに動くということであって、この投稿者の診断ではない。
「体に入る」——これには公的な文書がある
もう一つの返信は、都市伝説のように聞こえることを書いている。
「体内にまだ大量のソトロンが残っていて、抜けるのに時間がかかっているのかもしれない」
「香料会社の古い冗談で、人を騙して純のソトロンを嗅がせるというのがあった。一瞬メープルシロップとカレーの匂いがして、一秒でそれに対して嗅盲になる。その頃には十分な量を吸収していて、その後何日も、どこへ行ってもカレーの匂いがすることになる。」(Odd_nonposter)
これには文書がある。
米国国立小児保健・人間発達研究所が維持する授乳中薬物データベース(LactMed)は、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum)の項目で、この植物の成分の最初の一群にソトロンを挙げている。そして副作用の段にこう書いている。
「おそらく最も特異な副作用は、フェヌグリーク中のソトロンが尿、汗、便、そしておそらく母乳にメープルシロップの匂いを与えることである。」
**尿、汗、便。**比喩ではなく、参考文献付きの公的な監視データベースが副作用として列挙している。
あの返信の「何日もどこへ行ってもカレーの匂い」は方向として完全に正しい。そして投稿者の問いに直接の含意を持つ。ソトロンが摂取を通じて体液に入るのなら、皮膚接触のあとに数日間身体に残ることは筋が通る。
(正確に書く。LactMedのその一文はフェヌグリークを摂取した場合の話であって、ソトロンの皮膚接触ではない。用量も経路も違うので、前者を後者の証拠にはできない。立てられるのは「ソトロンは体液とともに排出され匂いを伴う」という機構が存在することであって、「手にこぼしても同じことが起きる」ではない。)
実際どれくらい強いのか
「ソトロンは驚くほど強力だ」には座標を与えられる。
当サイトのデータベースの強度欄には、推奨される評価濃度が併記されている材料がある。このシリーズは第43篇でその分布を測った。42225件のうちこの欄を持つのは802件で、527件が10%、204件が1%、45件が0.1%を推奨している。
そして0.01%以下を推奨されているのは、全データベースで9本だけだ。
| 材料 | CAS | 供給元 | 香調 |
|---|---|---|---|
| 2,3,5-トリメチルピラジン | 14667-55-1 | 99 | ナッティ、ナッツの皮、アーシー、カカオ |
| maple furanone(アブヘキソン) | 698-10-2 | 67 | メープル、甘い、フルーティ、カラメル、フェヌグリーク |
| caramel furanone(ソトロン) | 28664-35-9 | 41 | 甘い、カラメル、メープル、焦げた砂糖、コーヒー |
| (Z)-4-ヘプテナール | 6728-31-0 | 28 | オイリー、ファッティ、グリーン、乳製品 |
| プロピルメルカプタン | 107-03-9 | 24 | キャベツ、ガス臭、甘い、オニオン |
| イソプロピルメルカプタン | 75-33-2 | 16 | 熟した、オニオン、ガス臭、ミーティ |
| o-クレゾール | 95-48-7 | 13 | マスティ、フェノリック、プラスチック、メディシナル |
| 安息香酸デナトニウム | 3734-33-6 | 9 | (香調欄なし) |
| m-クレゾール | 108-39-4 | 8 | メディシナル、ウッディ、レザー、フェノリック |
9本のうち2本がこの投稿者の方向のもので(ソトロンとアブヘキソン)、残る7本はメルカプタン、クレゾール、ピラジンという定評ある核兵器級の材料になる。
残香の欄は > 400時間(プロピレングリコール中3%)。このシリーズの規則では > は下限であって測定値ではない。実際に何時間かは誰も報告しておらず、3%に希釈しても16日を超えて残ることだけが分かる。
一万分の一の濃度での評価が推奨され、残香の下限が16日を超える材料を、手袋なしの手にこぼして、数日後もまだ嗅ぐものに影響しているというのは、少しも不思議ではない。
DMSOの話
あの返信がついでに触れたDMSOも、データベースで引ける。
ジメチルスルホキシド(CAS 67-68-5、供給元24社)の香調欄はこうなっている。ファッティ、オイリー、チーズ、ニンニク、マッシュルーム、塩味。
「ニンニク」が欄に書かれている。
そして化粧品用途の欄は not used anymore(もはや使用されていない)。
DMSOの経皮吸収が口中のニンニク味を生じることについて、原典まで追ってはいない。だからこの節はここまでにする。**あの返信者が述べた現象は、この材料に対するデータベースの香調の記録と一致している。**彼自身が「ここで起きているのがそれかは疑わしい」と書いていて、その留保は正しい。
前回、私が書いた誤り
今回ソトロンを調べていて、前回の記事に誤りを書いていたことが分かった。
前回はクレームブリュレの処方を分析するなかで、論文が名指しした カラメル系の分子がデータベースで買えるかを調べ、こう書いた。
「ソトロン:記録なし。フラネオール:最も近いのはそのチオフェノン類縁体で供給元1社。メープルラクトン(シクロテン):記録なし」
三つとも誤りだった。
| 分子 | データベース上の名称 | 供給元 |
|---|---|---|
| ソトロン | caramel furanone |
41社 |
| フラネオール | strawberry furanone |
101社 |
| メープルラクトン | cyclotene |
72社 |
原因は具体的だ。**化学名でデータベースの「名称」欄を検索した。**この庫は食品香料をマーケティング名で登録しており、化学名は同義語欄に、sotolon という語は備考欄に入っている。私の検索は備考欄に届かず、空を返した。
そして私は「検索が引っかからなかった」を「データベースにない」と書いた。
決まりが悪いのは、このシリーズが第41篇で丸ごと一本、「データベースは化学名で登録し処方は商品名を使うから引けない」という主題を書いていることだ。その現象を測り、それについて書き、次の回で逆方向から同じ穴に落ちた。
前回の該当箇所は段落ごと書き直し、訂正日を明記した。結論も反転している。あの処方の作者は、ソトロンが買えないから別のものを使ったのではない。彼女が使っているメープルラクトンこそ、論文のあの一族の分子だ。
投稿者への実際の答え
- **まず味覚か嗅覚かを分ける。**鼻をつまんで甘いものと塩辛いものを一口ずつ食べる。塩味と甘味と酸味と苦味そのものが残っているなら、問題は嗅覚の側にある。
- **まだ体に残っている可能性を考える。**0.01%での評価が推奨され、残香が400時間を超える材料で、手を洗って落ちるのは表面であって、角質に入った分や吸収された分ではない。
- 「味蕾が壊れた」の典型的な形ではない。「一層足りない」「何か挟まっている」は風味の言葉になる。
- **次は手袋をする。**スレッドで誰も言っていないが、最も言うべき一文だ。
- **本当に心配なら医者に行く。**スレッドの最後の一文は正しく、この記事にできるのはいくつかの主張を調べることだけだ。
この記事が示していないこと
- **私は誰も診断できないし、これは医療上の助言ではない。**投稿者の症状の原因が何かは分からないし、この記事はその問いに答えようとしていない。
- Gagnon 2014が比較したのは先天性嗅覚欠損者と対照群であって、一時的な匂いの占有ではない。そこからこの状況への推論は私がした類推だ。
- LactMedのあの一文はフェヌグリークの摂取の話であって、純ソトロンの皮膚接触ではない。用量も経路も違い、引用して立てているのは機構の存在であって、この事例の説明ではない。
- **「香料会社の冗談」は裏を取っていない。**掲示板の発言として記録しており、事実としては扱っていない。
- **DMSOが口中のニンニク味を生じることについて原典を追っていない。**データベースの香調欄にgarlicがあることを照合しただけだ。
- **「0.01%での評価推奨」はデータベースの分類であって、匂いの閾値ではない。**このシリーズはすでに、データベースがこの欄の決め方を説明していないこと、そしてこの欄を持つ材料が全体の1.9%しかないことを測っている。
- **別の人が「globanoneが自分の嗅覚を永久に変えた」と書いているが、扱っていない。**個人一人の報告は裏を取れず、それは独立した、もっと難しい問いになる。