はじめての調香 · 60
「ふわふわ、砂嵐、温かい」あの匂いは何という材料か——私のデータベースは答えられず、フォーラムは三時間で答えた
· 14 分
r/DIYfragrance に、温かくてふわふわして砂嵐のような香りの材料を探している、バニラビーンズと無香の乾燥機シートのあいだの子どものような、という質問が立った。三時間で五件の返信が五本の材料を挙げた。同じ質問を自分のデータベースに投げたら答えられなかった。全庫 169 の統制された香調タイプのうち、質感も温度も感覚も一つもなく、すべてが素材か物質の名前になっている。そして static という語は 42,225 件のあらゆる欄に一度も現れない。ただし論文は質問者の側に立つ。2022 年の電子鼻による交差感覚対応の予測では、質感の滑らかさが最も相関が高く(r = 0.82)、色にも快さにも勝っている。そして彼は検索できる語をひとつ、自分でも気づかずに差し出していた。
所要 6 分。
四時間前にこういう質問が立った。
「温かい/ふわふわした/砂嵐のような香りを出す材料の名前を知っている人はいませんか。Ambroxan のように頭に来て飽きる感じではなく、Iso E Super よりはもう少しある(Iso E Super は人によっては控えめすぎる)。思い浮かべているのは Serge Lutens Gris Clair と Memo Paris Palais Bourbon のウッディなドライダウン。トンカ/アンバー/シダーというだけではない。バニラビーンズと無香の乾燥機シートのあいだに子どもができたような感じ。」
三時間のうちに五件、五本の材料。
「Cashmeran はよく温かい、テレビの砂嵐のようだと形容される」(hyperfocus1569)
「Cedramber かもしれない。Iso E Super にかなり近いが、竜涎香とシダーの調子がある」(frioke)
「Operanide もある。温かくて、ムスク=モス的にふわふわしていて、控えめにグルマン」(Salty-Flounder3840)
「Habanolide は『熱いアイロン』の匂いがすると言われる」(Mauve-Honey)
「スズラン系のアルデヒド、たとえば bourgeonal も加えたい。オゾン感なら floralozone がいい」(Crst80)
同じ質問を自分のデータベースに投げた。答えられなかった。
その失敗は書く価値がある。原因がデータベースの故障ではないからだ。
169 の語のうち質感を指すものは一つもない
データベースの odor_type 欄は統制語彙で、7,001 件の材料を覆い、169 の異なる値を持つ。
多い方から二十個:
floral(1052)、fruity(743)、herbal(636)、green(511)、woody(491)、spicy(461)、citrus(451)、balsamic(259)、sulfurous(192)、minty(138)、fatty(115)、nutty(110)、musk(88)、caramellic(81)、waxy(77)、earthy(76)、amber(59)、animal(55)、vanilla(55)、aldehydic(53)
尾の方はこうなる。
truffle(1)、whiskey(1)、saffron(1)、rhubarb(1)、molasses(1)、mutton(1)、fenugreek(1)、cucumber(1)
169 すべてが同じ問いに答えている。この匂いは何を思い出させるか。
「どんな手触りか」「熱いのか冷たいのか」「尖っているのか丸いのか」に答えるものは一つもない。
質問者が使った四語は、どれも入っていない。
| 彼の語 | 香調タイプ(統制語 169) | 香調欄 | 香りの記述欄(自由文) |
|---|---|---|---|
| fuzzy(ふわふわ) | 0 | 0 | 1 |
| static(砂嵐) | 0 | 0 | 0 |
| warm(温かい) | 0 | 124 | 324 |
| ozonic(オゾン感) | 0 | 0 | 20 |
static という語は、42,225 件のあらゆる文字欄に一度も現れない。
ただし最後の列を見てほしい。warm は自由文の香りの記述欄に 324 件ある。
質感と感覚の語をまとめて走査したところ、結果は一貫していた。
| 語 | 香調タイプ | 香調欄 | 記述欄 |
|---|---|---|---|
| light | 0 | 0 | 440 |
| dry | 1 | 257 | 402 |
| warm | 0 | 124 | 324 |
| rich | 0 | 0 | 164 |
| cool | 1 | 96 | 117 |
| soft | 0 | 5 | 111 |
| sharp | 0 | 58 | 107 |
| round | 0 | 0 | 98 |
| heavy | 0 | 0 | 67 |
| smooth | 0 | 0 | 37 |
| rough | 0 | 0 | 29 |
| velvet | 0 | 0 | 20 |
| fuzzy | 0 | 0 | 1 |
| static | 0 | 0 | 0 |
十七語のうち統制語彙に入っているのは cool と dry の二つだけで、その二つは物質的な形容も兼ねている。
つまり質感の層はこの庫に存在する。数も少なくない。ただ索引されていない。記録を書く人はこれらの語を使い続け、語彙表を作る人が拾わなかった。
論文は質問者の側に立つ
ここまでだと彼の描き方に問題があるように見える。論文を調べたら向きが反対だった。
Ward らは 2022 年に Heliyon で、電子鼻を使い、匂いの物理化学的特徴から人の交差感覚対応を予測した。六つの次元の相関係数はこうなる。
| 次元 | r |
|---|---|
| 質感の滑らかさ | 0.82 |
| 形の角ばり | 0.71 |
| 音の高さ | 0.70 |
| 色の明度 | 0.59 |
| 色の色相 | 0.42 / 0.44 |
| 快さ | 0.20 |
**質感が最も相関の高い次元になる。**色より高く、音の高さより高く、そして「良い匂いかどうか」よりはるかに高い。
質問者が描写に使った次元(ふわふわ=質感)は、これらの交差感覚次元の中で分子の性質から最も予測できるものになる。そして「良い匂いかどうか」、つまり多くの人が評価で書くものは、最も予測できない。
Spector と Maurer は 2012 年に『Seeing and Perceiving』でより早く一貫性を測っている。非共感覚者の成人 78 名、22 種の匂いで、色と形・質感の連想をさせた。どの匂いも特定の色や質感に一貫して結びついた(すべて p < 0.01)。
そして重要な区別がある。正確に同定できた四つの匂い(シナモン、レモン、ペパーミント、リコリス)の連想は学習と記憶に基づくように見える(レモン=黄色)。**しかし正確に同定できなかった 18 の匂いでも連想は同じく一貫していた。**たとえば生姜=黒、粗い、鋭い。ラベンダー=緑、白、液体、粘る。
**名前が分からない匂いでも、質感の連想は安定している。**だからそれは学習したラベルを言い直しているのではない。
結論が反転する。足りないのは私の語彙表の一次元であって、彼の描写ではない。
それでもデータベースは答えられる。彼自身が出したもう一つの語で
彼の文の後半はこうだった。
「バニラビーンズと無香の乾燥機シートのあいだに子どもができたような感じ。」
dryer、fabric、linen、ironed は香調欄で 0 件。
ところがこの庫には対応する語がある。laundered cloth(洗濯した布)。
香調欄にこの語を持つ材料は 26 件。供給元 10 社以上は七本になる。
| 材料 | 香調タイプ | 供給元 |
|---|---|---|
| ウンデカナール | アルデヒド | 35 |
| 酢酸デシル | ワキシー | 28 |
| musk dec-8-enone | ムスク | 19 |
| 酢酸ドデシル | ワキシー | 18 |
| 1-ウンデカノール | ワキシー | 16 |
| 2-ウンデカノール | ワキシー | 14 |
| (E)-12-musk decenone(Habanolide) | ムスク | 14 |
**最後の一本が Mauve-Honey の挙げた Habanolide になる。**フォーラムは一本を見つけ、データベースは同じ枠の七本を並べられる。
Habanolide の香調欄は、甘い、ムスク、ワキシー、ドライ、パウダリー、洗濯した布、メタリック、アニマリック。
Mauve-Honey は「熱いアイロン」と言った。データベースは laundered cloth と metallic と書いている。同じことを、一方は場面で、一方は語彙で言っている。
残りの四本は合うか
| フォーラムの推薦 | データベースのレコード | 香調欄(統制) | 合うか |
|---|---|---|---|
| Cashmeran | musk indanone(38 社) |
スパイシー、ムスク、ウッディ、クリーン | 香調欄では合わない |
| Cedramber | cedrol methyl ether(37 社) |
ウッディ、ドライ、シダー、竜涎香、アーシー、ベチバー | 合う(frioke の「竜涎香とシダー」) |
| Habanolide | (E)-12-musk decenone(14 社) |
洗濯した布、メタリック | 合う(「熱いアイロン」) |
| bourgeonal | cyclamen propanal(29 社) |
フレッシュ、ウォータリー、フローラル、シクラメン | 合う(スズラン系アルデヒド) |
| floralozone | ozone propanal(31 社) |
オゾン、クリーン、フレッシュ、グリーン、マリン | 合う |
| Operanide | —— | —— | 全庫に該当なし |
Cashmeran の行は、私が最初に書き間違えたところなので残しておく。
香調欄は四語、スパイシー、ムスク、ウッディ、クリーン。フォーラムの「温かい、砂嵐」と交わらないので、最初は「合わない」と書いた。
そのあと自由文の香りの記述欄を最後まで読んだ。IFF 自身の文章が入っている。
「拡散性が高く、スパイシーで、ムスク様の匂い。強いフローラルの補強を伴う。**パウダリーで、ベルベットのようなニュアンス。**持続する。」
**velvet(ベルベット)。**全庫でこの語を持つ 20 件の一つで、しかも「ふわふわ」にいちばん近い語になる。
正しい言い方はこうなる。Cashmeran の質感の記述は**データベースの中にある。ただし一階層下にある。**統制された香調欄にはなく、自由文の記述欄にある。
(Cashmeran については別に一本書いていて、48 時間の残香の話をした。あのときは香調欄しか読んでいなかったので、質感の層に触れていない。)
「ozonic」の統制語は何か
質問者は ozonic と書いた。語彙表にこの語はなく、ozone もない。
あるのは marine(マリン)が 11 件。関連して ocean(2)、seaweed(2)、rain(2)、fresh(6)、clean(6)。
floralozone の香調タイプはまさに marine で、香調欄の最初の語が ozone になる。
**その語は庫の中に存在するが、自由文の欄にあって語彙表にはない。**香調タイプで検索するなら marine で引くしかない。
実際にどうするか
- 質感の語は自由文の香りの記述欄で検索する。香調タイプでは引かない。
velvetは記述欄に 20 件、語彙表では 0。warmは 324 対 0 になる。 - **描写には二種類の語を混ぜる。質感・感覚の語と、場面・物の語。**二つの欄がそれぞれを受ける。
- **「何に似ているか」は統制欄で引きやすい。**乾燥機シートは引けず、
laundered clothは 26 件引ける。 - **香調タイプで検索するなら統制語彙を使う。**ozonic →
marine。砂嵐 → 対応語がなく、フォーラムに頼るしかない。 - **フォーラムが得意なところは、データベースが不得意なところと一致する。**交差感覚の描写は索引化されていないが、人の記憶の中では安定している。両方使う。
- **逆にデータベースが得意なのは、フォーラムが出せないもの、つまり完全なリストになる。**フォーラムは Habanolide を一本、データベースは同じ枠の七本。
この記事が立証していないこと
- **どれも嗅いでいない。**全編がデータベースの項目と論文二本による。
- 「169 語に質感語がない」は一つずつ見た私の判断。
waxy、oily、creamy、powderyは質感と主張できるが、同時に物質名でもある。線を引いたのは私になる。 - **「static が 0 件」は全欄の文字列照合。**別の綴り(
TV noiseなど)を使ったレコードがあれば拾えない。 - Ward 2022 の r = 0.82 は電子鼻の予測と人の評価の相関で、「質感の記述の方が正確だ」の直接の証拠ではない。被験者数と匂いの数までは読めていない。
- Spector 2012 の 78 名は全員が非共感覚の成人で、単一の研究、22 の匂いも彼らが選んだものになる。
- どちらの論文も香料材料の商業的な評価ではなく、実験室の匂い刺激を扱っている。
- **「合う」はフォーラムの形容詞とデータベースの欄を私が手で突き合わせたもの。**ブラインドではなく、答えを知ってから対応を探しているので一致を過大評価しやすい。
- Cashmeran の行では最初
odor欄だけを読んで結論を出し、自由文欄のvelvetを見落とした。訂正は上に残してある。他の五本についてもodor欄しか読んでいないので、同じように見落とした語があるかもしれない。 - **「17 語のうち 2 語」の語のリストは私が選んだもの。**別の語を選べば比率は変わる。
- Operanide が見つからないのは、この庫が収録していないという意味であって、市場に存在しないという意味ではない。