はじめての調香 · 69
「もう使われていない」80本は、FEMA番号で切ると2つの山に分かれる
· 6 分
前回、cosmetic_uses 欄の「もう使われていない」と category 欄を突き合わせて、2つの欄が矛盾していると書いた。あの言い方は正確ではなかった。もう一つやってみた——その80件にまだ FEMA 番号があるかを見る。26件(32%)にはあり、regulatory 欄には JECFA、FEMA GRAS、CoE、FLAVIS が揃っている。化粧品からは退いたが食用香料としては合法な材料で、サプライヤー55社のジヒドロクマリンがこの山だ。54件には無く、その顔ぶれはこうなる——クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、フタル酸ジブチル、ジエチレングリコール、ヘキサン、サフロール、ソラレン、ナフタレン、カテコール、硫酸コバルト、そしてニトロムスク3本。この切り方は category を見るよりはるかに正確だ。
読了目安 4 分。
前回は cosmetic_uses 欄の「もう使われていない」を category 欄と突き合わせ、80件のうち62件が今も香料か香精に分類されていることを見つけて、2つの欄が矛盾していると書いた。
あの言い方は正確ではなく、しかも私はテストに使う欄を間違えていた。
category 欄はこのデータベース自身の分類ラベルで、非常に緩い。クロロホルムの category は「特定用途の成分としてのみ」、フタル酸ジブチルは「間接食品添加物」だ。あの欄が言っているのは「これはだいたいどの類か」であって「誰が承認しているか」ではない。
欄を変えると一気にきれいになる。
FEMA 番号で切る
FEMA 番号は米国香料抽出物製造者協会が食用香料に与える登録番号で、regulatory 欄には JECFA、CoE、FLAVIS といった対応する登録も並ぶ。番号があるということは、どこかの機関が今もそれを使える食用香料として扱っているということだ。
「もう使われていない」80件を突き合わせる。
| 件数 | 割合 | |
|---|---|---|
| FEMA 番号がある | 26 | 32% |
| FEMA が無い | 54 | 68% |
この一刀で、80件は意味のまったく違う2つの山に分かれる。
1つめの山:化粧品から退いた、食用香料としては合法
FEMA がある26件は、regulatory 欄にたいてい「JECFA, FEMA GRAS, CoE, FLAVIS」が揃っている。
代表がジヒドロクマリン(119-84-6)だ。サプライヤー55社、FEMA 2381、JECFA 1171、FLAVIS 13.009、CoE 535、FCC も Yes。そして cosmetic_uses は「もう使われていない」。
**これは矛盾ではなく、2つの用途が別々に動いているだけだ。**化粧品から退場し、食用香料の名簿には残っている。(この1本の記録と2006年の PLoS Genetics の論文は〈原料図鑑:ジヒドロクマリン〉に書いた。)
同じ山にはアリルイソチオシアネート(53社、からしの辛さ)、マソイアラクトン(32社)、フルフリルアルコール(31社)、コスタスルート油(21社)もいる。
あなたにとっての意味:食用香料の文脈では今も出会うが、化粧品や香水の文脈では使わない。
2つめの山:本当に退場した
FEMA が無い54件は、名簿そのものが答えになっている。
| 類 | 材料 |
|---|---|
| 溶媒と工業品 | クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチレングリコール、ヘキサン、2-エトキシエタノール、モルホリン、ジエタノールアミン |
| 可塑剤 | フタル酸ジブチル(14社)、フタル酸ブチルベンジル |
| 発がん・光毒性の懸念が知られるもの | サフロール、ソラレン、ナフタレン、カテコール、硫酸コバルト |
| ニトロムスク | moskene、musk tibetene、versalide |
| クマリン誘導体 | 7-メチルクマリン、8-tert-ブチル-4,6-ジメチルクマリン、ヘキサヒドロクマリン |
| その他 | サビン油(savin oil)、ゲラニルニトリル(20社)、ブロムスチロール(13社)、グリセリル PABA、色素 CI 45380 |
**この山には「別の場所ではまだ使える」ものが1本もない。**まるごと外に出されている。
そして注意してほしい。**ゲラニルニトリルは今も20社、フタル酸ジブチルは14社、ブロムスチロールは13社、ヘキサンは18社、ジエタノールアミンは18社。**サプライヤー数はまったく可用性の指標にならない。この山は前回よりそれをはっきり示している。
材料を調べるときの順序
- **
cosmetic_usesに「もう使われていない」があるか。**あれば次へ。 regulatory欄に FEMA/JECFA/CoE/FLAVIS がまだあるか。- ある → 退いたのは化粧品で、食用香料の線は生きている。香水には使わない。
- 無い → まるごと退場している。使わない。
- **どちらの山でも、IFRA スタンダードと自分の地域の化粧品規制を見る。**この2つの欄はヒントであって判決ではない。
- サプライヤー数は見ない。
この記事が訂正したこと
前回は「80件のうち62件の category が今も香料か香精で、2つの欄が矛盾している」と書いた。数字は正しいが、テストに category を選んだのが間違いだった——緩すぎて、クロロホルムとジヒドロクマリンを「まだ香料」という同じ印象に入れてしまう。
**FEMA で切れば 26 対 54、2つの山の意味はまったく違う。**前回の結論(cosmetic_uses を可用性の判断に使わない)はそのまま成り立ち、この記事はその次の一歩を足した。
この記事が立証していないこと
- **これは今も欄の監査であって規制の確認ではない。**FEMA 番号はこのデータベースの欄に存在するもので、FEMA の公式名簿に1件ずつ当たってはいないし、取り消されたことがあるかも調べていない。
- **「FEMA があれば食用は合法」は単純化だ。**FEMA GRAS は米国の業界による自己認定の仕組みで、各地の食品規制がそれと一致するとは限らない。
- 54件の分類は説明のために私が付けたもので、データベースの分類ではない。
- どの1本がいつ、どの規制で化粧品から外れたのかは調べていない。
- FEMA の無い材料の一部はもともと食用香料ではない(色素、可塑剤、溶媒)。FEMA が無いのは「取り消された」ではなく「最初から登録されていない」だ。これがこの切り方の最大の限界だ。
- 26と54は2026年8月時点のスナップショットの数字だ。