原料図鑑 · 88
原料図鑑:ソトロン——データベースでの名前はcaramel furanoneで、そのせいで前回私はこれを引けなかった
· 10 分
CAS 28664-35-9。供給元41社。全42225件のうち、推奨評価濃度が最も低い9本の一つになる。0.01%以下だ。残香は「> 400時間」(プロピレングリコール中3%)と書かれていて、これは下限であって測定値ではない。濃度がこの分子の正体を決める。高濃度ではフェヌグリークとカレー、低濃度ではメープルシロップ、カラメル、焦げた砂糖になる。天然での存在欄はコーヒー、フェヌグリーク種子、そば蜂蜜、メープル、パイナップル、日本酒、シェリー、バージニア煙草、米酒。そしてこのデータベースでの名前がsotolonではないことが、前回の私に誤った結論を書かせた。
**短く言うと:**9本の「核兵器級」材料の一つで、濃度がカレーかメープルシロップかを決める。買える(供給元41社)。ただしデータベースではこの名前ではない。そして手にこぼしたあと鈍ったのは味覚か嗅覚かを、先に分ける必要がある。
欄
| 欄 | 内容 |
|---|---|
| データベース上の名称 | caramel furanone |
| 通称 | ソトロン(sotolon、sotoloneとも) |
| 系統名 | 4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン |
| CAS | 28664-35-9 |
| 分子式 | C6H8O3、分子量128.13 |
| データベース上の分類 | 調味料(flavoring agents) |
| 外観 | 白色から淡黄色、液体から固体(推定) |
| 融点 | 25–29 °C |
| 沸点 | 93–95 °C @ 2 mmHg |
| logP | 0.40(推定) |
| 水溶解度 | 222,800 mg/L @ 25 °C(推定) |
| 香調型 | カラメル |
| 香調 | 甘い、カラメル、メープル、焦げた砂糖、コーヒー、黒糖、綿菓子 |
| 強度 | 非常に強い。0.01%以下の溶液での評価を推奨 |
| 残香 | > 400時間(プロピレングリコール中3%) |
| 供給元 | 41社(別に希釈液を売る37社) |
| 規制 | JECFA 243、FEMA GRAS 3634、CoE 11834、FLAVIS 10.030 |
| 毒性 | 経口・経皮・吸入すべて未測定 |
9本のうちの1本
このシリーズは第43篇でデータベースの推奨評価濃度の分布を測った。42225件のうちこの欄を持つのは802件で、527件が10%、204件が1%、45件が0.1%を推奨している。
そして0.01%以下を推奨されているのは、全データベースで9本だけだ。
ソトロンはその一つになる。同じリストの残る8本は、2,3,5-トリメチルピラジン、maple furanone(アブヘキソン)、(Z)-4-ヘプテナール、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、o-クレゾール、安息香酸デナトニウム、m-クレゾール。
**メルカプタン、クレゾール、ピラジン、そして二つのフラノン。**これがデータベースの見立てで一万分の一の濃度でなければ安全に評価できない材料の全リストになる。
残香の欄は > 400時間 で、しかも3%のプロピレングリコール溶液中での値だ。このシリーズの規則では > は下限になる。実際に何時間かは誰も報告しておらず、3%に希釈しても16日を超えて残ることだけが分かる。
濃度がこの分子の正体を決める
データベースの備考欄がこの点を丁寧に引いている。
「ソトロン(sotoloneとも)はラクトンであり、極めて強力な香気化合物で、高濃度ではフェヌグリークまたはカレーの典型的な匂いを、低濃度ではメープルシロップ、カラメル、焦げた砂糖の匂いを持つ。」
同じ分子が、濃度が違えば二つの別の食べ物になる。
香調の記述欄の二つの記録が、同じことの両端を示している。
- Luebke(tgsc, 1998)、プロピレングリコール中0.01%で:「極めて甘く、強いカラメル、メープル、焦げた砂糖、コーヒー」
- Mosciano(『Perfumer & Flavorist』1997):「甘い、カラメル、メープル、黒糖、シクロテン、綿菓子」
**Luebkeの条件に注意したい。0.01%だ。**一万分の一で、その濃度での彼の表現がなお「極めて甘く、強い」になる。
備考欄には実務的な一文もある。「うまく調節すれば、並外れた配合が得られる。」——ここでの「うまく調節する」(shade it well)の意味ははっきりしている。量を合わせろということだ。
何に入っているのか
天然での存在欄はこうなっている。
コーヒー;フェヌグリーク種子;そば蜂蜜;メープル;パイナップル果実;日本酒;シェリー;バージニア煙草;米酒
備考欄が補足する。「生のサトウキビ糖、熟成した日本酒、コーヒー、フェヌグリーク、ラベージ、ワインに見出される主要な風味化合物」
**このリストには規則がある。熟成と加熱だ。**日本酒、シェリー、米酒、煙草は熟成。コーヒー、メープル、サトウキビ糖は加熱。ソトロンはこの二種類の過程に共通する産物になる。
2014年、Gabrielli、Fracassetti、Tirelliが『Journal of Agricultural and Food Chemistry』に、白ワイン中のソトロンをUHPLCで定量する方法を発表している。このこと自体がこの分子の地位を語る。ワイン学において、ソトロンの濃度は専用の分析法を立てて測る対象になっている。(白ワインでは通常、過剰な酸化や熟成の指標とみなされる。)
体に入る
米国国立衛生研究所の授乳中薬物データベース(LactMed)は、フェヌグリークの項目で副作用を挙げるなかでこう書いている。
「おそらく最も特異な副作用は、フェヌグリーク中のソトロンが尿、汗、便、そしておそらく母乳にメープルシロップの匂いを与えることである。」
尿、汗、便、そしておそらく母乳。
参考文献付きの公的な監視データベースが、ある植物の副作用として列挙していて、その原因物質としてソトロンが名指しされている。
正確に書く。その一文はフェヌグリークを摂取した場合の話だ。立てられるのは「ソトロンは体液とともに排出され、識別できる匂いを伴う」という機構の存在であって、皮膚接触についての結論ではない。同じ回のはじめての調香が、ある掲示板利用者の関連する状況を扱っている。
あの名前
この節がこの記事で最も記憶すべき部分になる。前回、私がこれのせいで誤ったことを書いたからだ。
当サイトのデータベースで、この材料の名称欄は caramel furanone となっている。
sotolonという語は備考欄にある- 化学名
4,5-dimethyl-3-hydroxy-2,5-dihydrofuran-2-oneは同義語の先頭欄(head_synonym)にある - 名称欄はマーケティング名だ
前回、カラメル系の分子が買えるかを調べるのに使った検索は「名称欄に sotolon を含む」だった。**返ってきたのはゼロ件。**私はその結果を「データベースに記録なし」と書いた。
供給元は41社ある。
同じ検索で、さらに2本を取り逃していた。
| 私が検索した名前 | データベースの名称 | CAS | 供給元 |
|---|---|---|---|
| sotolon | caramel furanone |
28664-35-9 | 41社 |
| furaneol | strawberry furanone |
3658-77-3 | 101社 |
| メープルラクトン cyclotene | cyclotene |
765-70-8 | 72社 |
**この庫は食品香料をマーケティング名で登録している。**caramel furanone、strawberry furanone、maple furanone。三つの偶然ではなく、一つの命名の慣例になる。
(シクロテンは cyclotene でそのまま引けたはずなのに、私は先入観で「メープルラクトン」と「methyl cyclopentenolone」の二つを使い、どちらも当たらなかった。)
**このシリーズは第41篇で丸ごと一本、「データベースは化学名で登録し、処方は商品名を使うから引けない」という主題を書いている。**その現象を測り、次の回で逆方向から同じ穴に落ちた。
前回の該当箇所は段落ごと書き直し、訂正日を明記して、結論も反転させた。
買うかどうか
- メープル、カラメル、カレー、熟成した酒の方向を作りたいなら、その位置の中心分子で、供給元41社と入手も難しくない。
- **0.01%ではなく0.001%から試す。**データベースの推奨は0.01%以下で、全データベースでこの階級に達するのは9本しかない。
- **希釈液を買う。**37社がcaramel furanone solutionを売っていて、この強度の材料には通常そちらのほうが理にかなった入り方になる。
- **手袋をする。**残香の下限が400時間を超え、しかも体液とともに匂いを持ち出す。この二つを合わせた意味は、付いたら洗って終わりではないということだ。
- **データベース上の分類は「調味料」であって香料ではない。**毒性の三欄はすべて「未測定」で、FEMA GRASの食品香料としては珍しくない(食品の安全性評価は別の体系を通る)が、肌に載せるものを作るなら、その三つの空欄は見ておく価値がある。
- 引くときは
caramel furanoneかCAS 28664-35-9を使う。
この記事が示していないこと
- **毒性の三欄はすべて「未測定」で、毒性学の文献を別途調べてはいない。**この記事は皮膚安全性についていかなる主張もしない。
- 残香
> 400時間は下限で、しかも3%溶液中の値だ。実際の値は不明になる。 - **「0.01%以下での評価推奨」はデータベースの分類であって、匂いの閾値ではない。**データベースはこの欄の決め方を説明しておらず、この欄を持つ材料は全体の1.9%しかない。
- Gabrielli 2014は分析法の論文だ。「ワイン学でソトロンは専用の定量を要する指標である」という位置づけに使っており、そこの数値は引用していない。
- LactMedのあの一文はフェヌグリークの摂取の話であって、純ソトロンの接触ではない。用量も経路も違う。
- **資料の中にこれを見つけられなかった。**公開処方954件に識別できるソトロンの項目はなく、これは調味料に分類されていることと整合するが、別の表記を取り逃していないかを追加で確認してはいない。この記事の主題を考えると、この一文は二度読む価値がある。