はじめての調香 · 102
794件の記録の引火点が0 °Cと書かれており、そのすべてが燃えないものだ
· 6 分
引火点欄の記入率は33.9%で、最も多い値は794回現れる「32.00 °F. TCC (0.00 °C.) (est)」である。その794件の3分の1は分子式に炭素を含まない——水酸化ナトリウム、硫酸、二酸化チタン、炭酸カルシウム、キトサン。引火点が無いのは、燃えないからだ。そして0 °Cの引火点は規制上、最も危険な等級にあたる。凍る温度で着火するという意味である。この既定値は事実と正反対のことを言っている。さらに悪いことに、その794件には1件も GHS の危険有害性情報が無い——唯一本当のことを言える欄が、嘘をついている記録では空なのだ。加えて引火点欄全体の56.6%が(est)推定値であり、推定値はほぼ売られていない材料にしか現れない。est 付きの記録のサプライヤー中央値は1、付いていないものは5である。
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前回、「埋めたのに空」の3つの形を整理した。最も危険なのは既定の定型だ——妥当な数字に見えるからである。
今回はその類型の最も極端な例だ。
引火点欄の最頻値
引火点欄には14,316件の値がある(33.9%)。そして最も多い値は 794回現れる。
32.00 °F. TCC ( 0.00 °C. ) (est)
ちょうど0 °C、しかも「推定」と付いている。
その794件でサプライヤーが多いもの:
| サプライヤー | 材料 |
|---|---|
| 53 | 水酸化ナトリウム |
| 38 | 硫酸 |
| 35 | 水酸化カリウム |
| 31 | リン酸 |
| 30 | タンニン酸 |
| 29 | 二酸化チタン |
| 29 | キトサン |
| 28 | 硝酸 |
| 26 | 炭酸カルシウム |
これらに引火点は無い。
引火点の定義は「液体の上の蒸気濃度が着火しうる最低温度」である。水酸化ナトリウムは燃えず、二酸化チタンも燃えず、炭酸カルシウムは石灰石だ。
数字にする
「分子式に炭素があるか」を客観的な代理指標として使った。
| 分子式あり | 炭素を含まない | |
|---|---|---|
| 0.00 °C の組 | 797 | 268 = 33.6% |
| 他の引火点を持つ記録 | 12,723 | 131 = 1.0% |
34倍。
(残る3分の2は炭素を含むが同様に燃えにくいもの——タンニン酸、キトサン、第四級アンモニウム塩といった重合体と塩である。)
そして0 °Cは最も危険な等級だ
ここが要点である。
多くの規制は引火点23 °C未満の液体を最高の可燃等級とし、38 °C未満を「引火性液体」とする。0 °Cの引火点は「凍る温度で着火しうる」という意味だ。
「引火点が無い」を表す既定値が、「極めて引火しやすい」として描画されている。
プレースホルダは「データが無い」と言うが、この既定値は具体的で、しかも誤ったことを言う——そして最も危険な方向に誤っている。
しかもそれを正せる唯一の欄が空だ
その794件のうち何件が GHS の危険有害性情報を持つかを調べた。
0件である。
**本当に0 °Cで燃える材料なら、H224 か H225 が必ず付く。**この794件には1つも無い——燃えないから、その表示が無いのだ。
2つの欄が合わさって事態をちょうど逆にしている。一方が偽の危険な数字を与え、他方は「実は違う」と言うべきなのに空白である。
第100回で GHS が全庫で最も空の欄(0.9%)だと測った——ここがその空白の最も高くついた場面だ。
そして引火点の半分は推定値である
ついでに測った。14,316件の引火点のうち8,109件に「(est)」が付いている——56.6%。
そしてサプライヤー数との関係は純度欄の既定値とまったく同じだ。
| 件数 | サプライヤー中央値 | 10社以上の割合 | |
|---|---|---|---|
| (est) あり | 8,109 | 1 | 4.2% |
| (est) なし | 6,207 | 5 | 32.0% |
実測値は売られている材料に属し、推定値は売られていない材料に属する。
同じ模様が現れるのは3度目だ(純度、引火点、そして外観と用途の記入率)。このデータベースの「商品」に対する記録の質と「項目」に対する記録の質は別物である。
では本当に注意すべきはどれか
推定値とあの既定値を除き、サプライヤー15社以上の実測引火点だけを見ると——中央値は92.2 °Cで、38 °C未満はわずか92件(6.6%)だ。
最も低い数本:
| 引火点 | サプライヤー | 材料 |
|---|---|---|
| 2.2 °C | 21 | クロトン酸エチル |
| 2.2 °C | 20 | トリメチルアミン |
| 3.3 °C | 27 | イソ酪酸メチル |
| 4.4 °C | 37 | 2-メチルブチルアルデヒド |
| 7.2 °C | 66 | ジアセチル |
| 9.4 °C | 41 | エタノール |
**ジアセチルとエタノールは多くの人の机の上にあるものだ。**エタノールの9.4 °Cは誰もが知っているが、ジアセチルの7.2 °Cはそれより低い——室温で引火性液体である。
実務として
- **引火点が「0.00 °C (est)」なら、それはデータではなく既定値だ。**まずそれが燃えるものかを問う。
- **(est) を見たら割り引く。**引火点の56.6%は推定であり、推定は売られていない材料に集中している。
- 本当に確認すべきは GHS だ——だが記入率は0.9%なので、たいてい確認できない。
- 実測値で引火リスクを並べたいなら、先に (est) とあの794件を除く。
この記事が立証していないこと
- **「炭素を含まない」は「燃えない」の粗い代理にすぎない。**炭素を含むが燃えないもの(炭酸塩)も、炭素を含まないが燃えるもの(水素、リン)もある。
- このデータベースの推定アルゴリズムは確認していないので、「0 °Cは引火点の無い物質に対する出力」は模様からの推論である。
- 「多くの規制が23/38 °Cで区分する」は常識レベルの記述で、条文は1つも引いておらず、管轄によって閾値は異なる。
- **794件のうち、サプライヤーの多い十数本しか見ていない。**すべてが燃えないことを1件ずつ確認したわけではない。
- GHS が0件なのは、それらの記録全体のデータが乏しいだけかもしれない。「燃えないから表示が無い」と区別できていない。
- これは2026年9月時点のスナップショットである。