はじめての調香 · 81
1つの材料に相性リストが2つあり、それぞれ別の方を向いている
· 5 分
データベースの相性提案は香調と風味の2つに分かれる。7,035本が両方を持ち、その中身は部分的にしか重ならない——共通部分を和集合で割った中央値は0.379、短いほうで割ると0.600。面白いのは向きだ。香調の側は24.3%がフローラルを指すのに、風味の側ではフローラルは3位で10.9%しかなく、上位2つはフルーティ12.1%とシトラス11.1%に入れ替わる。同じデータベース、同じ材料群でありながら、2つのリストの重心が違う。だから「この材料は何と合うか」は、香水を作っているのか風味を作っているのかを先に問う必要がある。
読了目安 4 分。
相性リストの3本目だ。前の2本で測ったのはリストが種類ごとに60件で切られていることと、香調の側は73.6%がタイプをまたぎ4分の1がフローラルを指すことだった。
今回は前の2本が飛ばしていたものを扱う。リストには2つの半分があり、私は片方しか見ていなかった。
2つのリスト
blenders テーブルの kind 欄には2つの値がある。
- odor(香調):336,574行
- flavor(風味):337,088行
ほぼ半々だ。そして 7,035本の材料が両方を持つ。
どれだけ重なるか
各材料の2つのリストを集合として重なりを計算する。
| 中央値 | |
|---|---|
| 共通部分 ÷ 和集合 | 0.379 |
| 共通部分 ÷ 短いほう | 0.600 |
**2つのリストが共有する内容は、和集合のおよそ3分の1だ。**別の見方をすれば、短いほうのリストの6割は長いほうにも入っている。
まったく重ならない材料は1本だけ(7,035本中)なので、2つのリストが別々のことを言っているわけではない。実質的な共通の土台があり、そのうえでかなりの部分が違う。
重心が違う
本当の違いは向きにある。両方の行き先の分布を並べる。
| 順位 | 香調の側 | 風味の側 | ||
|---|---|---|---|---|
| 1 | フローラル | 24.3% | フルーティ | 12.1% |
| 2 | バルサミック | 12.0% | シトラス | 11.1% |
| 3 | シトラス | 9.7% | フローラル | 10.9% |
| 4 | フルーティ | 8.6% | グリーン | 7.3% |
| 5 | ハーバル | 5.1% | バルサミック | 5.8% |
| 6 | グリーン | 4.0% | ハーバル | 4.8% |
| 7 | アルデヒディック | 3.2% | スパイシー | 4.2% |
香調の側ではフローラルが独走する——24.3%、2位の2倍だ。
**風味の側ではフローラルが3位に落ち、10.9%しかない。**上位2つはフルーティとシトラスに入れ替わる。
**しかも風味の側はずっと平坦だ。**香調の1位は24.3%だが、風味の1位は12.1%——風味リストでは、どの香調タイプも8分の1を超えない。
これが意味すること
**1.「この材料は何と合うか」は用途を先に問う。**同じ材料が、香水ではフローラルへ、風味ではフルーティとシトラスへ推される。
**2.風味の側の提案はより分散している。**香調リストには明確な重心があり、風味リストには無い。ありきたりでない組み合わせを探すなら、風味の側の分布のほうが均等だ。
**3.2つのリストは6割重なるので、相互参照には意味がある。**両方に現れる提案は比較的強い信号だ——2つの異なる使用文脈のどちらでも挙げられている。
4.前2本の結論に但し書きが要る。「リストはフローラルを指す」と書いたが、あれは香調の側にしか当てはまらない。風味の側はそうではなく、私はあのとき確認していなかった。
実際にどうするか
- **提案を見るとき、どちらの半分を見ているか確かめる。**香水なら香調の側、食品香料なら風味の側。
- **両方に挙がっているものを優先して試す。**6割の重なりは、共通部分が偶然ではないことを示す。
- **フローラルの惰性から抜けたいなら風味の側を見る。**分布がずっと平坦だ。
- **上限は依然として効く。**両方が60件で切られているので、合計120は1本の長いリストではなく2本のランキングだ。
この記事が立証していないこと
- **重なりは名称の文字列一致で計算した。**同じ材料が2つのリストで別の書き方をされていれば重ならない扱いになるので、0.379 は下限だ。
- 行き先の分布は
grp欄を使っているが、香調と風味のgrpが同じ分類語彙である保証は無い——前回と同じ方法上の欠落で、しかも2つの半分を跨いで比較しているぶん、ここではより深刻だ。 - 「風味リストのほうが平坦」は分布の観察で、集中度の指標も統計的検定も行っていない。
- 両方の半分にグループ欄が「見つからない」の行が大量にあり(香調は108,086行、風味の側にもある)、分布の計算からすべて除外している。
- 2つのリストがどう生成されたかは分からないし、同じ出所から来ているかも分からない。
- **この記事もどの提案の質も評価していない。**3本ともリストの形の話だ。