はじめての調香 · 79
「公式の相性リスト」は切り詰められている——上限120で、材料の55.5%がちょうど上限で止まっている
· 5 分
データベースの相性提案は673,662行あり、完全な関係図のように見える。そうではない。各材料の提案は香調と風味の2種類に分かれ、それぞれ最大60件、合計の上限は120——そして提案を持つ7,129本のうち3,957本(55.5%)がちょうど120で止まっており、超えるものは1本も無い。つまり半数以上の材料について、見えているのは切り詰められた上位60件であり、何が切られたかはデータからは分からない。これは他の2つも説明する。材料IDに戻せた344,065組の有向ペアのうち双方向は18.9%しかないこと、そして以前に処方コーパスで見つけた「実測でよく共起するペアの69%が公式リストに無い」ことだ。
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材料ページの「相性のよい素材」は、完全な関係図のように見える。全庫で 673,662 行あり、数が大きすぎて全部を覆っていると錯覚する。
あれはランキングであり、しかも切り詰められている。
上限は120
提案を持つ材料は7,129本。1本あたりの提案数を数える。
| 提案数 | 材料数 | 割合 |
|---|---|---|
| ちょうど120 | 3,957 | 55.5% |
| 111 | 51 | 0.7% |
| 106 | 48 | 0.7% |
| 98 | 47 | 0.7% |
| その他 | ⋯ | ⋯ |
120を超えるもの:0本。
さらに分解すると、提案は2つの kind に分かれる——香調(odor、336,574行)と風味(flavor、337,088行)。それぞれの最大値は60だ。
60 + 60 = 120。硬い上限である。
**つまり半数以上の材料で、見えているのは上位60件であって全部ではない。**そして切られたものの痕跡はデータに残っていない。
これが81%の非対称を説明する
提案の名称を材料IDに突き合わせると、344,065組の有向ペアが対応する(別に203,516行は材料表に完全一致する項目が無く、多くは調合品や商品名だろう)。
そこで単純な問いを立てる。AがBを勧めるとき、BもAを勧めるか。
| 組数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 双方向(A→B かつ B→A) | 65,035 | 18.9% |
| 片方向 | 279,030 | 81.1% |
5分の4が片方向だ。
**そして上限がその大部分を説明する。**人気のある材料は多くの人の上位60件に入るが、自分のリストにも60枠しか無い——自分を入れてくれた全員を収めきれない。
これはデータの誤りではなく、ランキングの必然だ。「各項目につき上位N件」のリストは必ずこの非対称を生む。
以前に出した69%も説明する
〈原料を30本買って詰まった〉で、954件の公開処方からよく共起する材料を計算し、公式の相性リストと突き合わせて、実測でよく共起するペアの69%が公式リストに無いことを見つけた——オークモスとパチュリ、ベルガモットとラベンダーのような明白な組み合わせを含めて。そして同じ材料が持つ二つの相性リストは、違う方向を指している。
あのときは「2つのデータ源が違うものを見ている」と考えた。
今はもっと単純な説明がある。リストに60枠しか無いのだ。
オークモスとパチュリが載っていないのは、データベースがその組み合わせを悪いと考えているからではなく、単に61位以降だったからかもしれない。
あのときの結論の方向は間違っていなかった(公式リストを可能な組み合わせの完全な表として扱わない)が、理由を見つけていなかった。今は見つかった。
実際にどうするか
- **リストに無いことは相性が悪いことを意味しない。**材料の55.5%では、リストがそもそも収まりきらない。
- **リストに有ることは意味のある信号だ。**上位60件に入る組み合わせは、少なくとも明示的に推奨されている。
- **2本が互いのリストに入っているなら、それは強い信号だ。**それができているのは18.9%だけである。
- **リストの長さで材料の使いやすさを判断しない。**多くの材料の長さは上限値そのものだ。
- **載っていない組み合わせを探すなら、提案リストではなく処方コーパスを見る。**両者の偏りは違う。
この記事が立証していないこと
- **その60件がどう順位付けされているかは分からない。**データにスコアや順位の欄が無いので、「上位60件」は上限から推した表現で、順位の根拠は検証できない。
- 203,516行はIDに戻せず、対称性の計算から除外している。戻せれば比率は変わる。
- **対称性の計算は名称の完全一致で行った。**同じ材料が2箇所で別の書き方をされていれば対応しない扱いになる。
- **「上限が非対称の大部分を説明する」は推論だ。**検証するには順位の根拠と切り詰め前の完全なリストが要るが、どちらも持っていない。
- 69%という数字は954件の処方コーパス由来で、そのコーパス自体に偏りがある(公開共有された処方はすべての処方ではない)。
- **相性提案の中身の質は評価していない。**この記事はリストの形の話だ。