はじめての調香 · 78
あなたが買ったのはどの等級か——α-テルピネオールには5つあり、うち3つは数字ではない
· 6 分
前回は純度の幅を測った。今回はその上流にあるもの、等級を測る。データベースの formulations 欄に内容があるのは726件だけ(全庫の1.7%)だが、その726件が語っているのは同じことだ——同じ名前にいくつの等級があるか。α-テルピネオールはサプライヤー103社で、欄には5つが並ぶ。technical、perfumery、extra、prime、food chemical codex。酪酸は75社で8つ。エタノールは41社で7つ。そしてこれらの等級名は3種類に分かれ、数字を教えてくれるのは1種類だけだ——純度のパーセント、薬局方や食品法典の規格(USP/NF/FCC)、そして内容が定義されていない商業用語(extra、prime、perfumery、technical)。最も多いのは3番目である。
読了目安 4 分。
前回は純度欄の幅を測った。今回はその1つ上流へ行く。その幅の前に、あなたはすでに等級を選んでいる。
この欄はほとんど埋まっていない
formulations 欄は商業的な製法と等級を記す。全庫 42,225 件のうち、内容があるのは726件——1.7%だけだ。サプライヤー10社以上は337件。
**だからこの記事が語れることは限られており、その限界自体が要点でもある。**多くの材料の等級情報を、このデータベースはそもそも収めていない。
書かれているものは等級のことを書いている
登場回数の多い等級名。
| 等級名 | 件数 |
|---|---|
| technical(工業級) | 152 |
| FCC(食品化学法典) | 58 |
| CP(化学的純) | 29 |
| USP(米国薬局方) | 22 |
| reagent(試薬級) | 18 |
| NF(国民医薬品集) | 17 |
| commercial(商業級) | 14 |
| pure | 10 |
そして4つ以上の等級を挙げている記録が65件ある。
使う可能性のある3本
α-テルピネオール(103社)
grades: technical; perfumery; extra; prime; food chemical codex terpineol
5つの等級で、そのうち「perfumery」「extra」「prime」の3つは数字ではない。
「extra」と「prime」は商業的な格付け語だ——売り手がこのロットは良いと考えていることを示すが、どこがどれだけ良いのかを説明する公開された定義は無い。
酪酸(75社)
grades: 90%; 95%; 99%; edible; synthetic; reagent; technical; FCC
**8つの等級で、しかも2種類の座標が混ざっている。**最初の3つは純度の数字、後の5つは用途か製法の分類だ。「synthetic」と「99%」は同じ種類の情報ではない——synthetic の酪酸は90%でも99%でもありうる。
エタノール(41社)
grades: USP(95% by vol); absolute; pure; completely denatured; specially denatured; industrial, various proofs
7つの等級。そして「completely denatured」と「specially denatured」が語っているのは何を変性剤として加えたかであり、それは純度とはまったく無関係の次元でありながら、香水に使えるかどうかを決める。(エタノールの濃度の話は〈190プルーフと200プルーフ〉に書いた。)
等級名は3種類に分かれる
726件の等級名を整理すると3種類になり、それぞれ情報量がまるで違う。
| 種類 | 例 | 何が手に入るか |
|---|---|---|
| 1.純度の数字 | 90%、95%、99%、98+% | 検証できる数字 |
| 2.公開された規格 | USP、NF、FCC、CP | 引ける規格書 |
| 3.商業用語 | technical、extra、prime、perfumery、commercial | 売り手の自己格付け |
最も多いのは3番目だ——「technical」だけで152回、1番目と2番目のどの語よりも多い。
**そして3番目には共通の定義が無い。**A社の technical と B社の technical が同じである保証は無い。その語が指すのは「医薬品や食品用ではない等級」であり、その下限は売り手が決めるからだ。
その726件の多くは香料ではない
正直に書いておく。最も多くの等級を挙げているのは無機塩と試薬だ——水酸化カリウム10、硝酸ナトリウム9、炭酸カリウム9、水酸化ナトリウム8。
このデータベースの収録範囲は香料より広く、formulations 欄の記入は化学品の側に偏っている。香料で比較的よく埋まっているのは工業原料でもある分子(エタノール、酢酸エチル、酪酸)で、純粋な香料分子は空のことが多い。
**だから「多くの香料に等級情報が無い」は欄のカバー率の結論であって、市場についての結論ではない。**売り手には必ず等級があり、このデータベースが収めていないだけだ。
実際にどうするか
- **発注前に純度だけでなく「どの等級か」を訊く。**別々の問いだ。
- **extra、prime、perfumery、technical を見たら、対応する数字を訊き返す。**その語自体は情報を含まない。
- **USP、NF、FCC は引ける。**この語を見れば、少なくともどこで規格を照合するか分かる。
- エタノールは濃度だけでなく変性剤を訊く。
- **同じ材料でも等級を替えたら評価し直す。**理由は抽出法を替えたときと同じだ。
- **
formulations欄に何か書いてあれば読む。**カバー率は1.7%しかないが、書いてあるときは必要なことを直接語っていることが多い——カンフェンの記録はこの欄のおかげで説明がついた。
この記事が立証していないこと
- **これは欄の監査で、カバー率は1.7%だ。**等級が書かれていない98.3%に等級が無いという意味ではない。
- 「等級名は3種類」は私の分類で、データベースにそういう欄は無い。
- 等級名の計数は文字列照合(
grades:の後を分割)で、別の書き方は漏れるか誤って切られる。 - **USP、NF、FCC のいずれの材料についても実際の規格は調べていない。**この記事はそれらの略号が引ける文書を指すことだけを述べている。
- 「A社の technical が B社と同じとは限らない」はこの語の性質であって、サプライヤーの規格書を比較した結果ではない。
- **4つ以上の等級を挙げる65件の多くは無機化学品だ。**香料の標本はこの数字よりずっと小さい。