安全 · 3
「2027年の禁止リスト」——あの一覧はまだ確定していない。確かめるのに必要な動作は三つだけになる
· 15 分
88件の返信がついたスレッドが、10種の材料からなる2027年の禁止リストを心配していた。その10種は当サイトの954件の処方コーパスの35.0%に触れる。ただしあの一覧は二つの別物を混ぜている。すでに施行済みのEU化粧品規制の禁止と、まだ意見公募の段階にあるIFRAの提案である。IFRA自身のページが示す日付は、公募が2025年12月12日開始、2026年6月12日終了。別のスレッドは、Iso E Superに実は制限があること、そして商品名でIFRAのサイトを検索しても何も出てこないことを見つけていた。
10か月前、r/DIYfragrance に一行の投稿があった。2027年の禁止リストについてどう思うか、というものだ。その下にヘリオトロピン、シクラメンアルデヒド、アセトフェノン、クミンアルデヒド、Lilial が並び、追記でブルジョナール、Cyclemax、パラシメン、ティーツリー油、4-ターシャリーブチルトルエンが加わった。返信は88件。
もう一つ、18件の短いスレッドがある。投稿者は Iso E Super が IFRA で制限されていることをその日初めて知ったという。見てきた動画はどれも制限はないと言っていたし、IFRA のサイトに「Iso E Super」と打っても何も出てこなかった。CAS 番号で見つかった。
三つ目はもっと率直だった。規制はころころ変わる、だからそれは安全性を何も示していない、と。
三つとも同じ問題を指している。この種の情報はコミュニティの中を回るが、原典に戻る人はほとんどいない。戻ってみた。
まず要点
- あの10種は、当サイトの954件の処方コーパスの 35.0% に触れる。ここは緊張するに値する。その35.0%を開くと、三分の一の処方が今は作れない。
- ただしあの一覧は二つの異なる仕組みを混ぜている。Lilial は2022年3月1日からすでに施行されている EU の化粧品禁止であり、残りは手続きの途中にある IFRA の提案になる。
- IFRA 自身のページに日付がある。第52次改訂の公募は2025年12月12日に開始し、2026年6月12日に終了した。 「2027年」は日程から逆算した数字であって、公表された日付ではない。
- Iso E Super の件のほうが役に立つ。制限は実在する。そして商品名で何も出てこないことには、調べればわかる理由がある。
読了の目安は10分ほど。
あの一覧が実際に触れる範囲
慌てる前に測っておく。
| 一覧の材料 | 出現処方数 | 954件中の比率 |
|---|---|---|
| Lilial | 154 | 16.1% |
| ヘリオトロピン | 144 | 15.1% |
| シクラメンアルデヒド | 64 | 6.7% |
| アセトフェノン(パラメチル体を含む) | 21 | 2.2% |
| クミンアルデヒド | 11 | 1.2% |
| ブルジョナール | 11 | 1.2% |
| パラシメン | 9 | 0.9% |
| Cyclemax | 4 | 0.4% |
| ティーツリー油 | 0 | 0.0% |
| 4-ターシャリーブチルトルエン | 0 | 0.0% |
いずれか1種を含む処方は334件、35.0% になる。 該当した処方の命中数は平均1.25種、中央値1種、最大3種。
影響は上位に集中している。Lilial とヘリオトロピンの2種だけで28.2%を占め、残る8種を足しても7ポイントに届かない。ティーツリー油と4-ターシャリーブチルトルエンは、このコーパスに一度も現れない。
一覧が二つの仕組みを混ぜている
Lilial を他と同じ一覧に置くのは無理がある。動かしている機械が別だからだ。
Lilial(butylphenyl methylpropional)は法律になる。 Regulation (EU) 2021/1902 が、CMR 区分 1B の分類を根拠に化粧品規則附属書 II の第1666項へ収載し、2022年3月1日から適用されている。EU市場の化粧品でこれに違反すれば違法になる。すでに4年以上施行されており、2027年の話ではない。
残りは IFRA スタンダードの側を通る。 IFRA は業界の自主規制団体で、その基準は会員と署名したサプライチェーンを拘束するが、それ自体は法律ではない。手順はこうなる。草案を公募にかけ、意見を集め、正式通知を出し、そこから移行期間が走る。
IFRA の公式ページは明確に書いている。第52次改訂の公開公募は2025年12月12日に開始し、2026年6月12日まで開かれていた。ページの公開日は2026年1月29日になる。
「2027年」がどこから来たかは復元できる。IFRA の規則では、禁止型の基準は正式通知の2か月後に新規処方へ、13か月後に既存処方へ効力が及ぶ。通知を2026年末に置けば、既存処方の期限は2027年末に落ちる。それは逆算した日付であって、公表された日付ではない。 業界報道は正式通知を2026年11月末ごろと見ているが、これは IFRA の公式ページで確認できなかったので、目安として扱う。
もう一つ覚えておきたい点がある。いくつかの材料には適用除外の申請書が評価中であり、ティーツリー油とヘリオトロピンもその中にいる。一覧に名前があることは判決ではない。
「制限あり」はカテゴリー抜きでは意味を持たない
Iso E Super に戻る。投稿者は「20%に制限されている」と書いた。正しい。そしてそれは、あのページにある16個の数字のうち最も緩いものになる。
基準そのものを取り寄せて見た。以下は12のカテゴリーごとの、完成品中の最大許容濃度になる。
| カテゴリー | 限度値 | カテゴリー | 限度値 |
|---|---|---|---|
| 1 | 0.41% | 7A | 0.67% |
| 2 | 1.1% | 7B | 0.67% |
| 3 | 0.41% | 8 | 0.19% |
| 4(香水) | 20% | 9 | 2.4% |
| 5A | 5.1% | 10A | 2.4% |
| 5B | 0.56% | 10B | 6.6% |
| 5C | 0.76% | 11A | 0.19% |
| 5D | 0.19% | 11B | 0.19% |
| 6(口腔用) | 0.0093% | 12 | 制限なし |
カテゴリー4は香水で上限20%。カテゴリー6は口に入るもので上限0.0093%。その差は2,150倍になる。 カテゴリー12には制限がまったくない。
つまり「この材料はX%に制限されている」という文型そのものが壊れている。答えを決める一つの欄が抜け落ちているからだ。自分がどのカテゴリーの製品を作っているかが先に来て、数字はその後で意味を持つ。
この基準は、飛ばされがちな欄も二つ記録している。リスクを駆動しているのは皮膚感作と全身毒性であり、施行日は新規処方が2021年2月10日、既存処方が2022年2月10日になる。
商品名で見つからない理由
あのスレッドで最も価値のある発見であり、しかも理由は確認できる。
その基準の表題は Iso E Super ではない。1-(1,2,3,4,5,6,7,8 Octahydro-2,3,8,8-tetramethyl-2-naphthalenyl) ethanone (OTNE) になる。四つの CAS 番号——54464-57-2、54464-59-4、68155-66-8、68155-67-9——を対象とし、文書には範囲がそれらに限られないとも書かれている。
「Iso-E Super」は同義語の一覧に、commercial name(商品名)の注記付きで載っている。Ambergris Ketone、Amberonne、Boisvelone、Isocyclemone E、Orbitone と並ぶ位置だ。しかも文書ではハイフン付きの表記になっている。 「Iso E Super」で出てこず、CAS で出てくることと、これは完全に一致する。
原料の名前は人を欺くで扱った問題であり、頻度の記事でも同じ地雷を踏んだ(ヘディオンと methyl dihydrojasmonate が2種として数えられていた)。法規を調べる場面では、この誤りの代償が大きくなる。
禁止に効果はあるのか
「規制はころころ変わるから意味がない」というスレッドは、実は測れる問いを立てていた。
ちょうど検証に使える材料が一つある。Lyral(HICC、hydroxyisohexyl 3-cyclohexene carboxaldehyde)で、EU は2021年にこれを化粧品から禁止した。
Hernández Fernández らは2025年、Actas Dermo-Sifiliográficas で、スペイン接触皮膚炎登録(REIDAC)のうち 2018年6月1日から2023年12月31日にHICCとフレグランスミックスIIを同時にパッチテストされた連続症例のすべてを解析した。
12,029名のうち96名(0.8%)がHICC陽性、396名(3.3%)がフレグランスミックスII陽性だった。著者らは、スペインにおけるHICC感作の有病率は低く、近年低下していると結論している。さらにHICC陽性96名のうち72名(75%)はフレグランスミックスIIだけで検出できたとして、HICCをベースラインシリーズから外すことを提言している。
研究期間は禁止をまたいでおり、低下は時期的に一致する。慎重に言えば、この設計だけで因果は立証できず、著者らも因果を主張していない。支持できるのはもう少し控えめな言い方になる。この種の制限は行政の気まぐれではなく、制限された物質はその後、臨床データの上で実際に減っている。
その数字の背後にあるものも思いつきではない。IFRAスタンダードはRIFMの安全性評価に立脚しており、RIFMの2026年の基準文書更新は、この過程が3,000種を超える香料材料を対象とし、毒性学的懸念の閾値(TTC)や皮膚感作の定量的リスク評価(QRA)を含む、終点ごとの段階的手法によることを述べている。同意するかどうかは別の問いで、手法があるかどうかとは分けて考えたい。
三つの動作
ある材料が今日まだ使えるかを確かめるには、この三つを行う。
一つ、名前ではなくCASで引く。 商品名は文書内でハイフン付きかもしれず、同義語として格納されているかもしれず、一つの基準が四つのCASにまたがっているかもしれない。名前で出てこないことは、基準が存在しない証拠にはならない。
二つ、数字より先にカテゴリーを読む。 12カテゴリーの限度値は3桁の幅を持つ。自分の完成品がどのカテゴリーかを確定させてから、その欄を読む。ついでに施行日も見ておく。新規処方と既存処方はふつう12か月離れている。
三つ、どこが管轄しているかを分ける。 IFRAスタンダードと現地の法令は別の系統で、一つの材料が片方にしか捕まっていないこともある。EUで売るなら化粧品規則の附属書II、他の市場ならその市場の規則になる。フォーラムの一覧は両者をよく混ぜる。今回のものがそうだった。
こちらにも直すところがある
ヘリオトロピンはあの提案一覧に載っており、当サイトはそれを書いている。評価中であることには触れていない。
あの記事の内容に誤りはない。ただ一欄が欠けている。第52次改訂の正式通知が出て、ヘリオトロピンが禁止か、制限か、適用除外かが決まったら、あの記事に一段落を足すことになる。それまでの間にここへ書いておくのは、読者に当サイトの原料図鑑を法規状況のスナップショットだと思わせないためになる。あれは違う。香りと物性の紹介であり、法規の欄はいつでも自分で最新版を確認するものになる。
この記事が立証していないこと
確認できたのは公募の期間であって、最終的な一覧ではない。 IFRAのページにあるのは日付だ。公募の草案そのものは権限の要る共有領域にあり、入手していない。公式ページ上で公表済みの第52次改訂の最終基準も見つけられなかった。したがって、あの10の名前が網羅的か、正確かを確認できていない。
施行日は逆算である。 2か月/13か月の規則はIFRAの一般的な運用であり、そこへ通知時期の二次報道を重ねた。実際の日付は正式通知とともに来る。
35.0%が語るのは公開デモ処方であって、店頭の香水ではない。 このコーパスは74%が特許や出典を伴う実施例で、時間の幅も不明になる。処方の書かれ方の中でこれらの材料がどれだけ一般的かは言えるが、今日の完成品には押し広げられない。
HICCの数字はスペインのものになる。 感作の有病率は地域差が大きく、0.8%をそのまま日本や台湾へ持ち込むことはできない。
参考文献
C. P. Hernández Fernández ほか, Should Hydroxyisohexyl 3-Cyclohexene Carboxaldehyde (Lyral®) Still be Part of the Baseline Series?, Actas Dermo-Sifiliográficas, 116(10), T1084–T1092 (2025). PMID 41076186. doi:10.1016/j.ad.2025.10.016
A. M. Api ほか, Updates to the RIFM Criteria Document for fragrance ingredient evaluation, Food and Chemical Toxicology, 217, 116329 (2026). PMID 42567301. doi:10.1016/j.fct.2026.116329
IFRA Standard, 1-(1,2,3,4,5,6,7,8 Octahydro-2,3,8,8-tetramethyl-2-naphthalenyl) ethanone (OTNE), 第49次改訂(2020)、標準番号068。2026-08-27 確認。
IFRA, IFRA Standards – 52nd Amendment Consultation、公式ニュースページ、公開日 2026-01-29。2026-08-27 確認。
Regulation (EU) 2021/1902。Regulation (EC) No 1223/2009 附属書 II を改正し、butylphenyl methylpropional を第1666項に収載。2022年3月1日から適用。