原料図鑑 · 97
原料図鑑:2-アセチルピラジン —— 推奨は 0.10% 以下、そして多くの人が最初に嗅ぐのは原液
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CAS 22047-25-2、供給元 80 社。強度欄の表記が「非常に高い」で、この庫では珍しい言い回しになり、推奨評価濃度は 0.10% 以下。液体ではなく白色の結晶粉末で、融点は 76 から 78 °C。香調はポップコーンとコーンチップからパンの耳、チョコレート、ヘーゼルナッツ、コーヒーまで伸びる。天然での存在の欄に並ぶのはすべて焼いたもので、ローストアーモンド、パン、カカオ、コーヒー、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ポップコーン、ポテトチップス、ごま油。それでいて公開処方 954 件の中では二回しか現れず、うち一回は 0.1% 希釈の表記つきになっている。
**要点:**この材料の要点は強度欄に書かれている。この庫の多くの材料が「高い」と書かれる中で、これは「非常に高い」と書かれ、推奨評価濃度が 0.10% 以下になっている。そして液体ではなく固体だ。
項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CAS | 22047-25-2 |
| 同義語先頭 | 1-ピラジン-2-イルエタノン |
| 分子式 | C6H6N2O、分子量 122.127 |
| データベース分類 | フレーバー・フレグランス成分 |
| 外観 | 白色から淡黄色の結晶粉末(推定) |
| 純度 | 99.00 〜 100.00 |
| 融点 | 76〜78 °C |
| 沸点 | 188〜190 °C @ 760 mmHg |
| 引火点 | > 100 °C |
| logP | 0.20(推定) |
| 蒸気圧 | 0.188 mmHg @ 25 °C |
| 水溶解度 | 66,520 mg/L @ 25 °C(実測) |
| 溶解性 | アルコール;ジプロピレングリコール |
| 香調タイプ | ポップコーン |
| 香調 | ポップコーン、ナッティ、コーンチップ、パンの耳、チョコレート、ヘーゼルナッツ、コーヒー、マスティ、ロースト、ポテト |
| フレーバー | ロースト、ナッティ、ブレッディ、イースティ、ポップコーン、コーンチップ |
| 強度 | 非常に高い。0.10% 以下の溶液での評価を推奨 |
| 残香 | 400 時間(ジプロピレングリコール 10%) |
| 保存期間 | 24 か月 |
| 保存 | 冷暗所、密封、熱と光を避ける |
| 天然での存在 | ローストアーモンド、パン、カカオ、コーヒー、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ポップコーン、ポテトチップス、ごま油 |
| 供給元 | 80 社 |
| 規制 | JECFA 784、FEMA 3126、CoE 2286、FLAVIS 14.032 |
| 経口毒性 | ラット強制経口 LD50 > 3000 mg/kg |
| GHS | H315 皮膚刺激;H319 強い眼刺激;H335 呼吸器への刺激のおそれ |
| 備考 | ローストしたごまの香気の構成成分 |
「非常に高い」という表記
強度欄の文字どおりの中身は very high, recommend smelling in a 0.10 % solution or less になっている。
この庫の強い材料の多くは high と書かれる。very high と書かれるのは少数で、しかも推奨濃度が 0.10% まで下げられている。
並べると分かりやすい。
| 材料 | 強度欄 | 推奨評価濃度 |
|---|---|---|
| 2-アセチルピラジン | 非常に高い | 0.10% |
| 2,3,5-トリメチルピラジン | 高い | 0.01% |
| 2-アセチルピリジン | 高い | 1.00% |
| パラクレゾール | 高い | 0.10% |
| ローズオキサイド | 高い | 1.00% |
| アンバーナフトフラン | 高い | 10.00% |
**同じピラジンでも、アセチルが 0.10%、トリメチルが 0.01% で十倍違う。**この欄に family の通則はなく、一本ずつ見るしかない。
フォーラムにこの材料を受け取ったばかりの人がいて、「足のような、子どもが遊ぶタール舗装の遊び場のような匂いで、グルマンな要素がまったくない」と書いていた。あとで、希釈の百分率は計算していない、届いた当日にそのまま嗅いだ、と認めている。原液は推奨濃度の千倍で、香調欄にはもともとマスティとローストが入っているから、その倍率では他のすべてを覆い隠す。
これは固体になる
外観欄は「白色から淡黄色の結晶粉末」で、融点は 76 から 78 °C。
これは買う前に知っておくべきことで、先に溶液を作るかどうかを決めるからだ。同じ family の近縁である 2-アセチルピリジンは液体で、香調タイプはどちらもポップコーンになっている。
良い知らせとして、よく溶ける。水溶解度 66,520 mg/L は実測値で、logP は 0.20 しかなく、溶解性の欄にはアルコールとジプロピレングリコールが並んでいる。融点 76 °C の固体はふつう溶けにくい(マルトールの回で計算した)が、この材料は極性が高いので扱いにくくない。
(logP 0.20 はもう一つのことも思い出させる。親水性なので、水を含む媒体の中で油相にとどまってくれない。)
天然での存在の欄がすべて焼いたもの
ローストアーモンド、パン、カカオ、コーヒー、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ポップコーン、ポテトチップス、ごま油。
この欄に生のものは一つもない。植物から抽出されるものではなく、加熱して作られるものになる。
Li らは 2025 年に Food Research International で、18 種のアミノ酸を 160 °C で一時間加熱し揮発性化合物の生成を調べた。結果の一つが直感に反する。還元糖がなくても、側鎖に脂肪族水酸基を持つもの(セリン、スレオニン)とアミド基を持つもの(グルタミン、アスパラギン)はピラジンを生成した。
そして茶葉の組成を模した糖混合物を加えると、揮発性化合物はフラン、アルデヒド、酸の方へ移り、ピラジンの生成が調節された。
「糖+アミノ酸=ピラジン」という覚え方は粗すぎる。どのアミノ酸か、糖があるか、どの糖かで結果が変わる。
(あの論文の基質は茶葉に基づいていて、著者自身が主に焙じ茶に適用できると書いている。)
構造と香りの関係は、この family にはモデルがある
Wailzer らは 2001 年に J Med Chem でニューラルネットワークをピラジンに適用した。98 本をグリーン 32 本、ベルペッパー 43 本、ナッティ 23 本に分け、構造記述子だけから 93.7% の精度で分類している。ネットワークで閾値も予測し、ベルペッパー群のテストセットで Pearson R は 0.926 だった。
ピラジン family の内部では、構造から香りのクラスも閾値も予測できる。
その 98 本の構成には注意が要る。**ナッティは 23% にすぎず、ベルペッパーが 43% を占める。**一方このデータベースの 236 件のピラジンのうち香調タイプが入っているものではナッティが最多になる。二つのサンプルの構成が違うのは、Wailzer の一群がベルペッパー香気の研究のために選ばれているからだ。
コーパス
公開処方 954 件のうち、ピラジン類は 6 件、0.6% にしか現れず、2-アセチルピラジンは 2 回。うち一回は 2-acetyl pyrazine 0.1% と表記されている。
ピラジン類全体では、用例の 73% に希釈の表記がついている。
2 件では少なすぎるので使用量は算出しない。
この記事が立証していないこと
- **私はこれを嗅いでいない。**全編がデータベースの項目、コーパス、論文二本による。
- **「
very highは少数」について、この語の庫全体での出現回数は数えていない。**私が書いてきた他の材料と比べただけになる。 - **残香 400 時間(ジプロピレングリコール 10%)とアセチルピリジンの 9 時間(100% 原液)は条件が違い、比較できない。**同じ問題をローズオキサイドの回で書いた。
- 水溶解度は実測、logP は推定で、混ぜて使うときは注意が要る。
- 「融点 76 °C の固体はふつう溶けにくい」は一般則で、この材料は極性が高いために例外になる。エタノール中での実際の溶解度の数字は持っていない。
- Wailzer 2001 はピラジン family の内部だけを扱っていて、他の環系には外挿できない。
- Li 2025 の基質は茶葉モデルで、適用範囲は著者自身が明記している。
- 天然での存在の欄はどの項目にも含量の百分率を与えていないので、どの食品で最も多いかは分からない。
- コーパスは 2 件しかなく、使用量を語れない。