原料図鑑 · 22
原料図鑑:デカナール(decanal、aldehyde C-10)— オレンジの皮が吹きかけてくるあの蝋の光と、「アルデハイディック」のアルデヒド
· 9 分
CAS 112-31-2、オレンジをむくとき顔に飛んでくる皮油の中にいます。香水で言う「アルデハイディック」のアルデヒドとは、この直鎖脂肪アルデヒドの一列のこと。C-10はその柑橘皮担当です:2001年のオレンジジュース研究は匂い活性値でこれを優勢な香気寄与者に数えました。1998年のScienceの受容体研究の金字塔も、単一の受容体が少数の匂い物質にだけ応答することを示しています。高強度、1%以下での評価推奨、保存期12か月はシリーズでは珍しい短さ。92社。
オレンジをむくと、皮が細かい霧を顔に吹きかけてきます。あの蝋のような明るさの主役のひとりが、デカナールです。
先に要点
- デカナールは柑橘の皮のワキシーなアルデヒドで、香水で「アルデハイディック」と言うとき指すのは、この直鎖脂肪アルデヒドの一列です。強度は高く、1%以下での評価を推奨。持続224時間は、軽そうな見た目に全然釣り合いません。
- 2001年のオレンジジュース研究は匂い活性値による定量で、デカナールを搾りたてジュースの優勢な香気寄与者のひとつに数えました。あなたの鼻の中の「新鮮なオレンジ」の一部は、この分子です。
- 保存に注意:推奨保存期はわずか12か月、本シリーズでいまのところ最短です。脂肪アルデヒドは古くなると酸化して酸敗の縁が出ます。小瓶で買い、開栓日を書くこと。
基本記録
| CAS | 112-31-2 |
| 分子式 | C₁₀H₂₀O |
| 分子量 | 156.27 |
| 香調 | 甘い、アルデヒド様、ワキシー、オレンジピール、シトラス、フローラル、オレンジ、柑橘の外皮 |
| 香調分類 | aldehydic |
| 強さ | 高(1%以下での評価を推奨) |
| 持続性 | 224時間(原液、ムエット上) |
| 比重 | 0.824–0.832(25 °C) |
| 引火点 | 83 °C |
| 推奨保存 | 12か月以上(冷暗所、密封) |
| 収載名簿 | GRAS、JECFA、CoE、FEMA GRAS、IFRA |
立ち止まるべき数字は2つ。1%以下での評価(バナナエステル級の強さ)と、保存期12か月(多くの原料は24か月、これは半分)。持続224時間はこの一族の隠れ芸で、柑橘の印象は早々に散り、蝋だけが残り続けます。
「アルデハイディック」のアルデヒドとは
化学の授業ではアルデヒドは大きな官能基の総称ですが、香水の業界語はずっと狭い。主にC₈からC₁₂の直鎖脂肪アルデヒドの一列で、石鹸、蝋、アイロンをかけたリネンの匂いがします。業界はこれらに番号式の通り名も残していて、当社データベースのカタログ名にはそのまま decanal (aldehyde C-10)、octanal (aldehyde C-8) と書いてあります。この付番はγ-デカラクトンの回で地雷を外しました。C-14は「(so-called)」付きのラクトンで、ここのC-10は正真正銘のアルデヒドです。
香水史の通説では、「アルデハイディック」というスタイル名は1921年のシャネルNo.5が脂肪アルデヒドを大胆に使ったことから定着したとされます。この物語は版が多く、細部の保証はしませんが、この一列の原料が独自の香調分類を持つに至ったのは事実で、当社データベースの odor_type 欄はそのまま aldehydic です。
オレンジジュースの優勢寄与者
2001年、Buettner と Schieberle は Journal of Agricultural and Food Chemistry 誌で、手搾りの Valencia late と Navel のジュースを比較し、25種の香気化合物を同位体希釈法で定量、匂い活性値(OAV、濃度÷閾値)で寄与者を並べました:
フルーティなエステル類(ethyl 2-methylpropanoate、ethyl butanoate、(S)-ethyl 2-methylbutanoate)、ワインラクトン、草様の化合物、そしてデカナールが、両ジュースに共通する優勢な香気寄与者だった。Navelオレンジはフルーティな性格が弱く、これはエステル濃度の低さと相関し、草様化合物は Valencia late より多かった。(中略)定量結果に基づくモデル溶液は感覚プロファイルの再現に成功した。
OAVという道具は閾値の回で扱いました。含有量の順位表は嘘をつき、閾値で割ってはじめて誰が本当に喋っているか分かる。デカナールはそうやってこのリストに載りました。調香では同じ手を逆向きに使います。シトラスのアコードに果汁感しかなく「皮」が無いとき、足すのはたいてい微量のデカナールです。
アルデヒドは受容体研究の探針にもなった
1998年の古典的実験は脂肪族アルデヒドを使い、嗅覚受容体がすべてではなく少数の分子群へ応答することを示しました。研究史は「嗅覚研究が同じ香気分子を使う理由」へ移し、本稿はデカナールのオレンジ皮とアルデヒディック香に戻ります。
嗅ぐときは
- 1%以下で評価。私は0.1%でもう一度嗅ぎます。高濃度では蝋燭と石鹸、薄めてはじめてオレンジピールの光が出ます。
- アルデハイディックの石鹸感は、この一列の合奏です。デカナール単体は柑橘寄りで、undecanal やオクタナールを重ねると「アルデハイディック」が立体になります。
- フローラルに0コンマ数%で、全体にアイロンを一枚かけたようになります。ホワイトフローラルは特にこれが効く。経験談です。
- 開栓から1年を過ぎたら、使う前にまず嗅ぐこと。酸化した脂肪アルデヒドの油の酸敗感は、処方に入ると救えません。
カタログ上の一族
| 品目 | 何であるか |
|---|---|
| decanal(aldehyde C-10、92社) | 本体:オレンジピールの蝋の光 |
| octanal(aldehyde C-8、73社) | 炭素2つ短く、より鋭くよりシトラス。受容体研究の有名リガンド |
| hexanal(aldehyde C-6、70社) | さらに短く、草とリンゴの皮。GLV一族まであと一歩 |
| nonanal(aldehyde C-9、63社) | 奇数炭素。バラ寄りの蝋 |
| undecanal(aldehyde C-11、35社) | 炭素1つ長く、石鹸感が増す |
| gamma-nonalactone(aldehyde C-18 so-called、96社) | アルデヒドの番号を着たもうひとつのラクトン。ココナッツクリーム — 番号に騙されないこと |
炭素がひとつ伸びるたび、柑橘が石鹸と蝋に席を譲ります。最後の行のC-18はC-14と同じくラクトンの偽名。注文はCASで。
法規
GRAS、JECFA、CoE、FEMA GRAS、IFRAに収載。これらの名簿は使用上限を示しません。脂肪アルデヒドは法規的に単純な部類です。肌用処方は現行IFRAスタンダードと供給業者規格書を。
買うときは
- 最小の瓶を買うこと。高強度に12か月の保存期、大瓶は無駄になります。
- CAS 112-31-2 を確認。「C-10」は愛称としては便利ですが、注文はCASで。
- アルデハイディック入門は、デカナールとオクタナールを小瓶で1本ずつ。輪郭はそれで描けます。一列を集めるのはまだ先でいい。
→ データベースのデカナール:全物性、供給業者一覧、推奨の組み合わせ。 → octanal|undecanal|香調で検索:「アルデヒド シトラス」で隣人を探せます。
参考文献
A. Buettner & P. Schieberle, Evaluation of aroma differences between hand-squeezed juices from Valencia late and Navel oranges by quantitation of key odorants and flavor reconstitution experiments, Journal of Agricultural and Food Chemistry, 49(5), 2387–2394 (2001). PMID 11368609
H. Zhao, L. Ivic, J. M. Otaki, M. Hashimoto, K. Mikoshiba & S. Firestein, Functional expression of a mammalian odorant receptor, Science, 279(5348), 237–242 (1998). PMID 9422698