原料図鑑 · 27
原料図鑑:ガルバナム(galbanum)— グリーンの王様と、「主成分は主香気ではない」の最良の実演
· 9 分
CAS 8023-91-4、ペルシャのフェルラ属植物の樹脂を蒸留した精油で、香水のグリーン調の骨格。2009年の研究は言い切っています:モノテルペンは油の大半を占めるのに、特有の香気にはほとんど寄与せず、顕著に寄与するのは微量のピラジン類のほうです。そのひとつピーマンのピラジンは、赤ワイン1リットルあたり15ナノグラムで明確なピーマン特徴を刻みます。66社、高強度で1%以下評価推奨、持続72時間。
新鮮な緑の茎をぽきりと折って、断面を嗅いでください。あの刺すような、土を帯びた緑を百倍に濃縮すると、だいたいガルバナムになります。ペルシャのフェルラ属植物が滲出する樹脂を蒸留した精油で、香水のグリーン調の骨格という地位は業界の通り相場です。
先に要点
- ガルバナムはグリーン調の骨格となる精油です。刺す緑、土、樹脂。高強度でデータベースの評価推奨は1%以下。バナナのエステルやデカナールと同じクラブです。
- 「主成分は主香気ではない」の教科書的実演でもあります。モノテルペンが油の大半を占めるのに、特徴的な香気に顕著に寄与するのは微量のピラジン類のほうだ。GCレポートから匂いを推測すると、この油では大負けします。
- そのピラジンの強さは? 赤ワインの研究が測っています:1リットルあたり15ナノグラムのピーマンピラジンで、ワインに明確なピーマン特徴が刻まれる。一兆分の一の世界です。
基本記録
| 品目 | ガルバナム精油(樹脂の蒸留) |
| CAS | 8023-91-4 |
| 香調 | フレッシュ、グリーン、樹皮、アーシー、ルーティ、ウッディ、バルサム、メタリック |
| 香調分類 | green |
| 強さ | 高(1%以下での評価を推奨) |
| 持続性 | 72時間(原液、ムエット上) |
| 比重 | 0.867–0.916(25 °C) |
| 引火点 | 40 °C |
| 推奨保存 | 24か月以上(冷暗所、密封) |
| 収載名簿 | GRAS、JECFA、FEMA GRAS、IFRA |
精油の比重は幅で書かれます(天然物はロット差がある、ロット差の回のいつもの話)。実務の数字は2つ:評価推奨1%以下(それだけ強い)、引火点40 °C(それだけ燃えやすい。熱源から離すこと)。香気語の「メタリック」は誤記ではなく、希釈前のガルバナムには本当に冷たい金属質の緑があります。
リストの主役は、鼻の主役ではない
「成分リストから香気の寄与は読めない」と、このシリーズで二十数回書いてきました。この油は、文献みずからが実演してくれた回です。2009年、Miyazawa らは Journal of Agricultural and Food Chemistry 誌の冒頭で言い切ります:
ガルバナム油は大量のモノテルペンと少量のピラジン類から成る。モノテルペンはガルバナム油の主成分であるにもかかわらず、その特有の香気にはほとんど寄与しない。対照的に、ごく少量のピラジン類が香気に顕著に寄与する。(中略)MD-GC-MS-O分析により、ガルバナム油中の新規キー香気成分 (6Z,8E)-undeca-6,8,10-trien-3-one と (6Z,8E)-undeca-6,8,10-trien-4-one が同定された。
GCレポートを渡されたとき、いちばん高いピークが嗅いでいるものとは限らない。この油はその極端な実例です。年号にも注目を:2009年になってもガルバナムから新しいキー香気成分が見つかっていました。天然物の香りのパズルは、まだ完成していません。
1リットルあたり15ナノグラム
ガルバナムの看板ピラジンのひとつが 2-isobutyl-3-methoxypyrazine。ピーマンや Sauvignon ワインの青い縁と同じ分子です。その威力には赤ワインの研究を引けます。2000年、Roujou de Boubée らが同じ誌面で:
異なるヴィンテージと品種(Cabernet Sauvignon、Cabernet franc、Merlot)の50本のボルドーとロワールの赤ワインについて、ピーマンピラジン濃度と試飲で知覚されるピーマン特徴の強度を比較し、「ピーマン特徴が明確になる」閾値は1リットルあたり15 ng と推定された。89本のボルドー赤の統計では、Cabernet系のワインがこの植物的特徴の影響を受けやすかった。
1リットルあたり15ナノグラムは、重量比でおよそ一兆分の一の濃度です。範囲に注意:これは赤ワインという基質の中で「特徴が明確になる」閾値であって、純粋な検出閾値ではありません。β-ダマセノンの回では低閾値が支配を保証しないことを見ました。ガルバナムはそのスペクトラムの反対端で、微量成分が本当に油全体の人格を乗っ取った例です。2篇を並べて読めば、「微量」という物語の2つの結末を両方見たことになります。
嗅ぐときは
- 1%以下での評価はデータベースの明記。私は最初に原液を嗅いで、刈ったばかりの生け垣に顔を突っ込んだようになりました。以来ずっと希釈しています。
- グリーン一家の分業:青葉アルコールが草の緑を、ガルバナムが茎と樹脂の緑を受け持つ。軽いのと重いのが一本ずつ。
- フローラルでの古典的な使い方は、ヒヤシンス、ミュゲ、水仙の下に敷くこと。0コンマ数%で、花が土に根を張ります。
- 持続72時間はグリーンとしては長寿です。トップと一緒に入場して、ミドルまで残ります。
- カタログにはピラジン単体もあります(下表)。純粋で制御しやすいピーマングリーンが欲しければ、全油より単体のほうが鋭くて扱いやすい。
カタログ上の一族
| 品目 | 何であるか |
|---|---|
| galbanum oil(66社) | 本体:蒸留精油。刺す緑と土 |
| 2-isobutyl-3-methoxypyrazine(49社) | ピーマンピラジン単体。本稿の主役分子 |
| galbanum resinoid(39社) | 溶剤抽出の樹脂版。より厚く、粘り、長く残る |
| 2-sec-butyl-3-methoxypyrazine(37社) | もうひとつのガルバナム系ピラジン。果実味のある緑 |
| galbanum oxyacetate(27社) | 加工誘導品。緑がやわらかめ |
| galbanum specialty(21社) | 商品名の調合ベース |
法規
GRAS、JECFA、FEMA GRAS、IFRAに収載。これらの名簿は使用上限を示しません。肌用処方は現行IFRAスタンダードと供給業者規格書を。精油はロットの産地と規格を供給業者に確認すること。
買うときは
- 最小の瓶を。1%評価級の強さなら10 mLは使い切れません。
- 全油とピラジン単体は別の道具です。樹脂ごと完全な緑が欲しければ油を、鋭く制御できるピーマングリーンが欲しければ#5360の単体を。
- 引火点40 °C。夏の車内は禁止、バナナのエステルと同じ保存則です。
→ データベースのガルバナム:全物性、供給業者一覧、推奨の組み合わせ。 → 2-isobutyl-3-methoxypyrazine|galbanum resinoid|香調で検索:「グリーン 樹脂」で隣人を探せます。
参考文献
N. Miyazawa, A. Nakanishi, N. Tomita, Y. Ohkubo, T. Maeda & A. Fujita, Novel key aroma components of galbanum oil, Journal of Agricultural and Food Chemistry, 57(4), 1433–1439 (2009). PMID 19173603
D. Roujou de Boubée, C. Van Leeuwen & D. Dubourdieu, Organoleptic impact of 2-methoxy-3-isobutylpyrazine on red bordeaux and loire wines. Effect of environmental conditions on concentrations in grapes during ripening, Journal of Agricultural and Food Chemistry, 48(10), 4830–4834 (2000). PMID 11052741