はじめての調香 · 97
Cramer 分類を持つ記録は5.1%しかなく、そしてクラスIIIは「有毒」という意味ではない
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データベースには structure_class という欄があり、値は I、II、III の3つだけで、42,225件のうち2,174件——5.1%にしか入っていない。Cramer の決定木による分類で、毒性学的懸念閾値(TTC)の手続きの第一歩にあたる。記入率が低いのには理由がある。分類を持つ記録は68.0%が FEMA 番号を、63.8%が JECFA を持つのに対し、持たない記録では5.3%と2.2%にすぎない。この欄は食品香料の安全性評価と一緒に入ってきたのだ。分布はクラスI 60.3%、II 24.1%、III 15.4%で、名前に硫黄を含む割合はクラスIの12.8%からクラスIIIの32.2%まで単調に上がる。だがクラスIIIの意味は「有毒」ではない——「この構造には安全性を推定する根拠が無い」、つまり決定木が低懸念の枠に入れられず、摂取量を持ち出さなければ何も言えない、ということである。
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データベースにはずっと触れていなかった欄がある。structure_class だ。値は I、II、III の3つしかない。
42,225件のうち2,174件——5.1%にしか入っていない。
なぜほとんど空なのか
分類を持つ記録と持たない記録の違いを見る。
| 分類あり(2,174) | 分類なし(40,051) | |
|---|---|---|
| FEMA 番号あり | 68.0% | 5.3% |
| JECFA あり | 63.8% | 2.2% |
| サプライヤー10社以上 | 39.3% | 5.7% |
**この欄は食品香料の安全性評価と一緒に入ってきている。**JECFA は国連食糧農業機関と世界保健機関の食品添加物専門家委員会で、Cramer 分類はその評価手続きの第一歩である。
つまり94.9%の空白は記入漏れではなく、それらの材料がこの手続きを通っていないということだ。(同じ形は保存条件と冷蔵の145件でも測った——欄はその出所と一緒に入ってくる。)
3つの級とは何か
Cramer の決定木は1978年に提案された一連の是非の問いで、構造の特徴によって物質を3級に分ける。
- クラスI:構造が単純、代謝経路が既知、毒性は低いと予期される
- クラスII:中間
- クラスIII:構造に「安全性を推定する根拠が無い」
分布:
| 級 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| I | 1,312 | 60.3% |
| II | 525 | 24.1% |
| III | 335 | 15.4% |
| (アラビア数字の 1) | 2 | 0.1% |
**6割がクラスIに落ちる。**そして「I」でなく「1」と書かれた2件は 2,3-ブタンジオール(8社)と (±)-sec-ブチルアミン(6社)だ——形だけで拾える小さな誤りがまた一つ、別の記事で扱ったのと同じ種類である。
各級はどんな顔をしているか
クラスI(サプライヤー中央値7):ゲラニオール(198社)、バニリン(193)、シトラール(135)、リナロール(135)、酢酸ゲラニル(130)、ベンジルアルコール(125)⋯⋯
この業界の最も基本的な一群だ。
クラスIII(サプライヤー中央値6):ブクマーカプタン(89社)、メープルフラノン(67)、ストロベリーグリシデート(63)、2-メチル-3-テトラヒドロフランチオール(61)、ジヒドロクマリン(55)⋯⋯
硫黄を含む割合は単調に上がる。
| 級 | 名前に硫黄を含む割合 |
|---|---|
| I | 12.8% |
| II | 25.0% |
| III | 32.2% |
香調型も噛み合う——sulfurous はクラスIIIで1位(33件)、クラスIでは4位に落ちる。
だがクラスIIIは「有毒」ではない
この記事で最も重要な一文だ。
Cramer の木が判定するのは「構造が安全性の推定を支えられるか」であって、**「これが人を害するか」ではない。**硫黄原子がある分子をクラスIIIに送り込むのは、あの木が含硫ヘテロ原子の代謝予期に十分な確信を持てないからであって、危険だという証拠があるからではない。
Okamura らの2015年の論文がよい実例だ。日本でのみ使われる5つのアセタール系香料を JECFA の手続きで評価している。
文献に遺伝毒性試験のデータが無いため、5物質はいずれも遺伝毒性を予測する化学構造上の警告を持たなかった。Cramer の分類を用いて、アセトインジメチルアセタールとヘキサナールジブチルアセタールはクラスIに、アセトアルデヒド 2,3-ブタンジオールアセタール、ヘキサナールグリセリルアセタール、4-メチル-2-ペンタノンプロピレングリコールアセタールはクラスIIIに分類された。
同じ5化合物、いずれも毒性データが無く、2つの級に分かれた——分けたのは構造であって証拠ではない。
分類の後が本題である。彼らはこの5物質の推定一日摂取量を 1.45〜6.53 µg/人/日(生産量に基づく推定)あるいは 156〜720 µg/人/日(単一摂取量法)と算出した。
分類は「どの閾値と摂取量を突き合わせるか」を決めるだけだ。
この手続きの通常の結論
欧州食品安全機関の2022年の FGE.07 第6改訂版は、55の香料物質を評価している。
これらの物質は段階的な手法で評価された。この手法は構造活性相関の情報、現在の使用における摂取量、毒性学的懸念閾値(TTC)、および入手可能な代謝と毒性のデータを統合する。パネルは、「最大化調査由来一日摂取量」に基づいて推定される食事からの摂取水準において、55物質のいずれも安全上の懸念を生じないと結論した。
55件の評価、55件とも懸念なし。
この体系が管理しているのは曝露量であって、禁止リストではない。
実務として
- **クラスIIIを警告と受け取らない。**それは「摂取量を持ち出して論じる必要がある」という印である。
- この欄の調香への直接の有用性は限られる——食品用途の分類であり、皮膚に吹きつける曝露経路とはまったく違う。
- 有用なのは手がかりとしてだ。Cramer 分類と JECFA を持つ材料は正式な評価手続きを通っている。そして94.9%の記録は通っていない。
- **本当に確認すべきは IFRA と供給仕様書だ。**この欄はそれらの代わりにならない。
この記事が立証していないこと
- Cramer の決定木そのものの条文は確認していない。「クラスIII=安全性を推定する根拠が無い」はこの手法の標準的な表現であり、1978年の原論文で確かめたものではない。
- 「94.9%の空白は手続きを通っていないから」は推論であり、根拠は FEMA/JECFA の記入率の差であって説明文書ではない。
- 硫黄の割合は名称の文字列で判定した(thiol、mercapt、sulf、thia、thio)ので、これらの語で命名されない含硫化合物は漏れる。
- 2本の論文はどちらも食品安全性評価であり香料研究ではない。引いたのは分類の使われ方についての記述だ。
- EFSA の「安全上の懸念なし」は食事からの摂取についてであり、香水の皮膚曝露に外挿することはできない。
- どの材料についても IFRA 上の位置づけは確認していない。