原料図鑑 · 101
原料図鑑:Floralozone —— フォーラムは「オゾン感」と言い、データベースの統制語は「マリン」
· 7 分
CAS 67634-14-4、供給元 31 社。データベース名は ozone propanal、同義語先頭は floralozone (IFF)。香調タイプは marine(マリン)で、香調欄の最初の語は ozone になる。このずれ自体が記録に値する。ozonic という語は 169 の統制された香調タイプに存在せず、マリンの枠がその居場所になる。強度欄は「中」、10% 以下での評価を推奨、残香 80 時間、自然界では見つかっていない。備考欄はわずか一言、「良いボディを与える」。
要点:「清潔な空気」の枠で供給元が多い数本のうちの一つになる。買う前に知っておくべきなのは、データベースがこれを ozone ではなく marine に分類していることだ。後者が統制語彙だからになる。
項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| CAS | 67634-14-4 |
| EINECS | 266-818-7 |
| 同義語先頭 | floralozone (IFF) |
| 分子式 | C13H18O、分子量 190.286 |
| データベース分類 | フレグランス成分 |
| 外観 | 無色澄明の液体(推定) |
| 純度 | 94.00 〜 100.00 sum of isomers |
| 沸点 | 267.6 °C @ 760 mmHg(推定) |
| 引火点 | > 100 °C |
| logP | 3.30(推定) |
| 蒸気圧 | 0.008 mmHg @ 25 °C(推定) |
| 比重 | 0.950〜0.958 @ 25 °C |
| 屈折率 | 1.504〜1.509 @ 20 °C |
| 水溶解度 | 21.05 mg/L @ 25 °C(推定) |
| 溶解性 | アルコール;アルコール性ローション;制汗剤;デオスティック;柔軟剤;硬表面クリーナー;シャンプー;石鹸 |
| 香調タイプ | marine(マリン) |
| 香調 | オゾン、クリーン、フレッシュ、グリーン、マリン |
| 強度 | 中。10% 以下での評価を推奨(ランク 2) |
| 残香 | 80 時間(100% 原液) |
| 保存期間 | 24 か月 |
| 天然での存在 | 自然界では見つかっていない |
| 供給元 | 31 社 |
| 化粧品用途 | 賦香剤 |
| 経口毒性 | ラット LDLo 5000 mg/kg |
| 皮膚毒性 | ウサギ LD50 > 5000 mg/kg |
| 備考 | 良いボディを与える(Gives good body) |
香調タイプと香調欄が違う語を使っている
このレコードを単独で書く一つ目の理由は、二つの欄が別の語を使っていることになる。
- 香調タイプ:
marine - 香調欄の最初の語:
ozone
データベースの odor_type は統制語彙で、全庫に 169 の値がある。走査した結果、ozone も ozonic もそこには入っていない。
入っているのは marine(11 件)、ocean(2 件)、seaweed(2 件)、rain(2 件)、fresh(6 件)、clean(6 件)。
フォーラムでは ozonic と言われ、香調タイプで検索するには marine で引く必要がある。この変換を教えてくれる人はいない。
(語彙表がまるごと一つの語群を落としている件は〈ふわふわ、砂嵐、温かいあの匂いは何という材料か〉で測った。質感と感覚の語は自由文欄に数百件あり、統制語彙にはほぼ存在しない。)
純度欄が「sum of isomers」と書いている
94.00 〜 100.00 sum of isomers。
この三語については前に書いた。規格が管理しているのは異性体の総和であって、どれか一つの異性体の比率ではない。
同義語欄とも符合する。ortho- and para-、3-(o- and p-、o- and p- といった書き方が並んでいる。この材料自体がオルト体とパラ体の混合になる。
だからロットによって比率が違いうるし、規格はそこを管理していない。(同じ構造はローズオキサイドの回で cis:trans 比について扱った。)
「オゾン」は比喩になる
香調欄の最初の語は ozone で、天然での存在の欄は自然界では見つかっていないと書いている。
オゾンそのものは O3 で、この C13H18O のアルデヒドとは何の関係もない。この語がここで指しているのは雷雨のあとの空気の感じであって、分子ではない。
Ward らは 2022 年に Heliyon で関連することをしている。電子鼻を使い、匂いの物理化学的特徴から人の交差感覚対応を予測した。質感の滑らかさ(r = 0.82)、形の角ばり(0.71)、音の高さ(0.70)は分子の性質から予測でき、快さは予測できなかった(r = 0.20)。
あの論文は「オゾン感」を測ってはいない。ただ、この材料に関わる一点を示している。嗅覚以外の語で匂いを describe することは曖昧さではなく、体系的なことになる。
残香 80 時間、強度は「中」
残香 80 時間(100% 原液)はこの庫では中程度に入る。強度欄は medium、ランク 2 で、10% 以下での評価を推奨している。
香りの記述欄にメーカーの一文があり、書き写す価値がある。
「力強く、クリーンで、グリーンでフレッシュな空気の調子。海風を思わせる。中性的であるがゆえに、押しのけることなく香水に持ち上げを与える。」
「押しのけない」は強度ランク 2 と一致する。
(それが備考欄の「良いボディを与える」の意味にもなる。主役ではなく構造の材料だ。この役割はワークホースの回で測った。)
どこで使われるか
溶解性の欄が挙げる用途は幅広い。アルコール性ローション、制汗剤、デオスティック、柔軟剤、硬表面クリーナー、シャンプー、石鹸。
柔軟剤やクリーナーがこの欄に出てくるのは、ふつうアルカリ性や酸化的な環境で十分に安定であることを示す。この材料の商業的な重心は、ファインフレグランスの側にはないかもしれない。
(アルカリ媒体中での実際の安定性データは調べていない。その項目はこのデータベースにない。)
この記事が立証していないこと
- **私はこれを嗅いでいない。**全編がデータベースの項目と論文一本による。
- **「ozone が統制語彙にない」は 169 の
odor_typeの値を走査して得た。**香調タイプ欄が空のレコードはこの数に入らない。 - **異性体比が香りに影響するかは調べていない。**純度欄が教えるのは、規格が総和を管理していることだけになる。
- **Ward 2022 はオゾン感もマリン感も測っていない。**引いたのは交差感覚の描写に体系性があることを示すためで、この材料についての結論のためではない。
- 蒸気圧も logP も水溶解度も推定値になる。
- 残香 80 時間は 100% 原液での測定で、10% 希釈で測ったレコードとは比較できない。
- 「柔軟剤に使えるならアルカリに強い」は私の推論で、データベースは用途を並べているだけで安定性のデータを与えていない。
- **コーパスの統計は取っていない。**954 件の処方コーパスでの出現率は調べていない。