原料図鑑 · 2
原料図鑑:ベルガモット — 一つの精油がコロンのトップとミドルをつなぐ
· 7 分
ベルガモットは柑橘、花、緑、スパイスを併せ持ち、明るいトップから花香のミドルへ橋を架けます。全油、ベルガプテン低減、テルペンレス、再構成品を用途で選びます。
最初の10本はベルガモットを筆頭に置きました。本稿はそれを分解します。なぜオーデコロンの骨格なのか、光毒性の分子機構は何か、そしてカタログに並ぶ FCF・ベルガプテン低減・テルペンレスの一列は実際のところ何を売っているのか。
先に要点
- ベルガモットはオーデコロンの主役。1本でシトラスの明るさ、フローラルの丸み、少しのグリーンとスパイスを併せ持つ万能選手です。
- 光毒リスクは果皮油中のフロクマリンに由来し、ベルガプテンはその重要な成分です。皮膚用の処方には FCF/ベルガプテン低減品を選び、供給元の仕様書と現行 IFRA Standardsを確認します。
- ムエット評価や芳香拡散は皮膚への照射を伴わないため、全油を使えます。曝露経路が変われば、安全性の問いも変わります。
基本記録
| 主要品目 | ベルガモット油(冷圧搾果皮油) |
| 香調 | シトラス、フローラル、グリーン、スパイシー、オレンジピール、ジンジャー |
| 香調分類 | citrus |
| 比重 | 0.876–0.884(25 °C) |
| 収載名簿 | GRAS、JECFA、CoE、FEMA GRAS、IFRA |
| ベルガプテン低減品 | 強さ中、持続8時間、推奨保存12か月以上 |
平たい読み方:比重は同じ体積の水と比べた重さ。持続8時間はムエットに付けて約8時間は匂いが感じられるということ。収載名簿は「どの公式リストに載っているか」であって、制限値ではありません。
(当社データベースの記録です。8時間と12か月はシトラス系統の典型値。保管の回で、シトラスは全系統中最も短い推奨保存期間の階級だと確認済みです。)
なぜオーデコロンの骨格なのか
ベルガモットは3つの性格を同時に持ちます。シトラスの明るさ、フローラルの丸み、そして少しのグリーンとスパイス。当社の香気記録(citrus、floral、green、spicy、orange peel、ginger)はその複合性格の目録です。1本でトップからミドルへの橋を自前で持つ原料はレモンにもスイートオレンジにもできない芸当で、17世紀のコロン処方から今日まで使われ続ける理由です。
揮発曲線の上ではやはりシトラスです。低減品の持続記録は8時間、リナロールの12時間より少し短い。トップノートの宿命であり、組み合わせは揮発曲線の回の論理で。
光毒性:1977年に分子まで特定済み
ベルガモット油の光毒性にはベルガプテンなどのフロクマリンと紫外線が関わります。アレルギーとは別で、基剤、用量、皮膚部位、照射までの時間も結果を変えます。
しかし「ベルガモット」は均質なものではない
2007年に四社を比較した研究では、光活性化の可能性を示したのは二試料だけでした。機構、試験差、FCFの意味は「柑橘精油が光毒性を持つ理由」へ移しました。購買上の結論は、bergamotという名前だけでなく仕様書のフロクマリン欄を読むことです。
カタログのあの一列は何を売っているのか
当社データベースには bergamot を名前に含む供給品目が30件あります。ほどくと「同じ果実への異なる答え」の一覧です。
| カタログ名 | 何であるか |
|---|---|
| bergamot oil | 完全な冷圧搾果皮油。供給記録58件 |
| bergaptene reduced | 処理でフロクマリンを低減。49件——肌用処方の既定の選択 |
| FCF(furocoumarin-free) | 同じ方向を「フリー」等級まで進めた商品名 |
| terpeneless | テルペン除去——香気の濃縮と溶解性・安定性の改善が目的。光毒性の話ではない |
| replacer / specialty | 合成再構築ベース。フロクマリンもなければ、天然油のロット変動もない |
| bergamot mint | シトラスではない——ハッカ属の植物。名前が同じだけ |
購買の要点は3つ:
- 肌に載せるなら低減/FCF等級を使い、規格書のフロクマリン欄まで読む。Kejlová の結果が示すとおり、「天然の完全油」の光毒性は供給元ごと・瓶ごとの事実問題で、ラベルの名前だけでは判断がつきません。
- ムエットと芳香拡散だけなら完全油で足ります。光毒性には皮膚接触と日光の両方が要り、どちらの条件も成立しないからです。私が最初に買ったベルガモットも完全油で、ムエット練習で使い切りましたが、困ったことは一度もありません。
- テルペンレスが解くのは溶解性と安定性の問題で、FCFの代わりにはなりません。
法規
記録上の収載はGRAS、JECFA、CoE、FEMA GRAS、IFRA。これらの名簿は使用上限を示しません。IFRAのフロクマリン含有シトラス油の扱いは最終製品基準で、処方中の該当油すべての合算です。レモン、ライム、プチグレンの隣にベルガモットが並ぶ処方は、現行のIFRAスタンダードをまとめて通す必要があります。1本ずつの各個通過では足りません。
→ データベースのベルガモット油:全物性と供給業者一覧。 → ベルガプテン低減品|香調で検索:「シトラス フローラル」で隣人を探せます。
参考文献
S. T. Zaynoun, B. E. Johnson & W. Frain-Bell, A study of oil of bergamot and its importance as a phototoxic agent. II., Contact Dermatitis, 3(5), 225–239 (1977). PMID 589995
K. Kejlová ほか, Phototoxicity of bergamot oil assessed by in vitro techniques in combination with human patch tests, Toxicology in Vitro, 21(7), 1298–1303 (2007). PMID 17669618