はじめての調香 · 19
熟成は何週間必要か——そして、スレッドで最初は誰も気づかなかった4.6%の水
· 13 分
調合から4日後、香りが薄くアルコール臭がするのは普通か、という問いが立った。43件の返信の多くは「待て」と答えた。何度かのやり取りの末に本当の問題が浮かぶ。投稿者は処方に蒸留水を4.6%加えていた。入門パレット53本の水溶解度を計算したところ、数値のある47本の中央値は100 mg/Lで、1%に届くものは一本もなかった。熟成については、1987年の研究が三か月のあいだに起きる化学反応を測っている。
r/DIYfragrance にこんな問いが立った。処方を作って4日置き、パフューマーズアルコールを加えてマグネチックスターラーで混ぜたところ、香りが薄く、アルコール臭がはっきりする。これは普通なのか、と。
返信は43件。上位の答えは「普通」「待て」「アルコールはそのうち落ち着く」だった。
そこで誰かが処方を尋ねた。何度かのやり取りののち、投稿者が貼り出した。
香料 1.895 mL 20.0%
アルコール 7.144 mL 75.4%
蒸留水 0.436 mL 4.6%
返信の調子がその場で変わった。水を入れるな。 三人が別々に同じことを書いている。
この記事の主題はその4.6%になる。熟成の話は後半に置く。そちらのほうが問いとして面白く、答えも思われているものとは少し違うからだ。
まず要点
- 入門パレットに、水への溶解度が1%に届く材料は一本もない。 数値のある47本の中央値は 100 mg/L(0.01%)で、半数近くが100 mg/L を下回る。
- データベースには、ある材料のアルコール濃度別の溶解比も記録されている。その表は水を足す代償をそのまま言い切る。アルコールを60%から30%へ落とすと、比は 1:5 から 1:200 になる。
- 「200プルーフのアルコールは空気から水を吸って95%に落ち着く」は方向としては正しいが、理由が違う。95.6% は蒸留の共沸点であって、室内の空気との平衡ではない。
- 熟成では確かに何かが変わる。1987年の研究は、37 °C で三か月置くと、ある種のアルデヒドの最大40%がアセタールに変わることを測っている。それは変化であって、必ずしも改善ではない。
読了の目安は9分ほど。
なぜ水を入れると壊れるのか
「香料材料の多くは水に溶けない」はあのスレッドで二度書かれていた。正しく、しかも量れる。
入門パレット53本の水溶解度を引き出すと、47本が明確な数値を持つ。
| 水溶解度の中央値 | 100 mg/L(0.0100%) |
| 100 mg/L 未満 | 47本中23本=49% |
| 1,000 mg/L 未満 | 47本中35本=74% |
| 10,000 mg/L(1%)未満 | 47本中47本=100% |
最も溶けないもの。
| 材料 | 水溶解度 |
|---|---|
| バージニアシダーウッド油 | 0.15 mg/L |
| ムスク GX | 0.19 mg/L |
| ミルラ油 | 0.68 mg/L |
| ガルバナム油 | 0.83 mg/L |
| Iso E Super(patchouli ethanone) | 1.08 mg/L |
最も溶けるのはバニリン 6,875 mg/L、ケイ皮アルコール 6,188 mg/L、インドール 3,560 mg/L。百分率にすると 0.69%、0.62%、0.36% になる。最もよく溶けるものでさえ 1% に届かない。
つまり処方の中のアルコールは希釈剤ではない。溶剤になる。水を足すことは、その溶剤を薄めることになる。
代償をそのまま書いた表
データベースの記録で一つ、異例に詳しいものがある。酢酸ベンジルの溶解度の欄には、水—アルコール混合物の濃度別の溶解比が並ぶ。
| アルコール濃度 | 溶解比 |
|---|---|
| 60% | 1 : 5 |
| 50% | 1 : 20 |
| 40% | 1 : 70 |
| 35% | 1 : 120 |
| 30% | 1 : 200 |
60%から30%へ、アルコール濃度は半分になっただけなのに、必要な溶剤量は 40倍になる。
4.6%の水がやっているのはこれになる。系を「アルコール」から「水—アルコール」の側へ押し、その方向へ一歩進むごとに溶けるものが減る。結果は白濁か、分離か、あるいは溶けてはいるのに香ってこないという状態になる。液相の中に留まって出てこないからだ。
この節で一度間違えた。 水溶解度を抽出する最初の版で、上の水—アルコール表にある「30%」を酢酸ベンジルの水溶解度として読み、300,000 mg/L というあり得ない数字を出した。実際の値は 3,100 mg/L になる。同じパーセント記号が欄によって別のものを指す。前回の記事と同じ落とし穴だった。
「アルコールは勝手に水を吸う」はどこまで正しいか
あのスレッドの一つは断定的だった。
100%のアルコールは大気中から水を吸い、自然に95〜96%の範囲に落ち着く。だから水を足す必要はない。
結論は正しく、理由が違う。
95.6%(重量比)はエタノールと水の共沸点になる。通常の蒸留ではこの点を超えてエタノールを濃縮できないという意味だ。その組成では気相と液相の組成が等しくなるからで、市販の最も一般的な規格が95%であるのもこれによる。
それは蒸留の限界であって、室内の空気との平衡ではない。 無水エタノールに吸湿性があるのは事実で、開封して空気に触れた瓶は水分を取り込む。ただし取り込む量は曝露時間と相対湿度で決まる。よく密封された未開封の無水エタノールが、ひとりでに95%へ流れていくわけではない。
実務上の結論は変わらない。水は足さない。 理由は「どうせ勝手に吸うから」ではなく、「材料が水に溶けないから」になる。
熟成では何が起きているのか
最初の問いに戻る。置けば良くなるのか。
Blakeway らは International Journal of Cosmetic Science で、代表的な香料材料の一群とアルコール、水、空気、高温、日光との相互作用を追跡し、組成の変化、酸度、過酸化物量、新しい分子の生成を追った。
測られたもの。
- 酸性の反応生成物の生成は、空気、温度、日光、そして天然物の存在によって加速された。
- 過酸化物の生成は熱、光、空気で加速され、酸度が上がると過酸化物は分解した。
- アルデヒドのアセタール化は温度と日光で加速された。37 °C で三か月置くと、ある種のアルデヒドの最大40%がアセタールに変わった。
- 立体異性化は広く起きた。トランス体のイソオイゲノールは 37 °C で三か月置くと最大 10% がシス体に変わり、日光下では 58% になった。
- エタノール自体も、存在するおよび熟成中に生じる過酸化物によってアセトアルデヒドとそのジエチルアセタールへ変換され、最大 0.08% に達した。天然物がこれを加速した。
- 試験された酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤のうち、有意な保護を示したのは EDTA 二カリウム塩だけだった。
熟成は迷信ではなく、反応は起きている。ただし著者らの枠組みには注意したい。彼らが研究したのは ageing(老化)であり、測ったのは劣化になる。結びの一文——これらの結果は香水の老化における匂いの変化をある程度説明する——は、その変化が良いものだとは言っていない。
言い換えると、置けば確かに変わり、「良くなる」と「悪くなる」は同じ反応群の上を走っているということになる。
ではなぜ多くの人が、寝かせたほうが良いと感じるのか。フレッシュと熟成の官能的な好みを比較した研究は見つけられなかった。もっともらしい説明は少なくとも二つある。溶質が溶剤の中に均一に行き渡るのに時間がかかること、そして最初の数日はアルコールの頭が香りの一部を覆うこと。ただしそれは推測であり、この記事は結論として印刷しない。
その「アルコール臭がする」について
投稿者の具体的な不満には別の説明もあり、スレッドでも指摘されていた。瓶から直接嗅いでいるか、噴霧した最初の数秒を嗅いでいるかで、それはエタノールになる。
Hadjiefstathiou らが2024年に Talanta で報告した装置研究は、まさにこれを測っている。表面の上の空気中への香水の放出量を定量する装置を作り、エタノールに溶かした8本の香料分子をテスト香料として、固相マイクロ抽出とガスクロマトグラフィーでヘッドスペースを分析し、4種類の異なる表面で蒸発を調べた。化学的に不活性なガラス、Strat-M® の皮膚モデル、試香紙、そして被験者の前腕の皮膚になる。
この論文の要点は「アルコールが何秒で消えるか」の数字ではない。同じ香水が表面によって違う蒸発の仕方をするということ、そして皮膚がその中で最も複雑だということになる。だから「瓶で嗅ぐ」「紙で嗅ぐ」「肌で嗅ぐ」は三つの別の測定であり、結論を移し替えることはできない。
実際にやること
一つ、水を足さない。 得るものがなく、溶解度を壊す。アルコール比率を下げるのは法規や輸送規則が要求する場合だけで、そのときは水よりDPGのような中性溶剤が向く。
二つ、体積ではなく重量で作業する。 スレッドは「1.895 mL」がメスシリンダーで量れる量ではないと指摘していた。前回の記事と同じ話になる。
三つ、時間は与える。ただし時間を修理道具にしない。 評価まで2〜4週間置くのは、最初の数日のアルコールの頭を過ぎさせるためだ。処方そのものが薄ければ、三か月置いても濃くはならない。スレッドの一つが最も的確だった。問題は時間ではなく材料になる。
四つ、暗く、涼しく置く。 あの研究では日光が異性化を10%から58%へ押し上げ、温度と空気がほぼすべての劣化経路を加速した。熟成のあいだ瓶をどこに置くかは、何週間置くかより効いてくる。
五つ、対照を残す。 調合した日に小瓶へ分けて冷蔵しておく。4週間後、作業用の瓶と並べて嗅ぐ。「熟成に意味があるか」に自分で答えられる唯一の方法であり、誰の経験談よりも当てになる。自分の処方と自分の鼻だからだ。
この記事が立証していないこと
Blakeway の研究は1987年のものになる。 材料の一覧も分析手法もその時代のもので、しかも測っているのは加速老化の条件(37 °C、日光)だ。あの百分率を、涼しい暗い戸棚の瓶にそのまま移すことはできない。
熟成が香水を良くすることを測った研究は見つけられなかった。 見つからないことは存在しない証明ではないが、この記事はその空白を推測で埋めない。
溶解度の値の多くは推定と記されている。 データベースの solubility 欄は実測値と推定値が混在し、一本ずつの区別はしていない。中央値 100 mg/L は桁の目安として読みたい。
あの水—アルコール表を持つ材料は一本だけになる。 酢酸ベンジルの階段は有用だが、それは一材料の挙動であり、材料ごとに曲線は違う。
参考文献
J. M. Blakeway ほか, Chemical reactions in perfume ageing, International Journal of Cosmetic Science, 9(5), 203–214 (1987). PMID 19456979. doi:10.1111/j.1467-2494.1987.tb00475.x
E. Hadjiefstathiou ほか, An innovative device for in vivo and in vitro study of fragrance evaporation after application on skin or model surfaces, Talanta, 281, 126851 (2024). PMID 39265418. doi:10.1016/j.talanta.2024.126851
関連記事:溶剤、保管と酸化、秤量と希釈、化学は要らない、ただし算数が一つ。