はじめての調香 · 99
越境するのは食べられるものだ:兼用材料のサプライヤー中央値は11、香水だけのものは4
· 7 分
前回は用途欄の2つの語彙表を測った。今回は材料そのものを見る。この欄を持つ7,807件のうち、34.5%は香水タグのみ、15.2%は食品タグのみ、24.3%は両方を持つ。そして兼用の一群は明らかによく売れている——サプライヤー中央値11に対し、香水のみは4、食品のみは6。サプライヤー50社以上の割合は11.2%で、対して2.6%と1.6%である。さらに面白いのはどの香調型が越境するかだ。カラメル61.7%、ワキシー56.9%、脂肪54.7%、グリーン53.1%、バニラ51.2%、ナッツ51.1%——すべて食べられるものである。そして最も低いのは amber の11.6%、ウッディ22.5%、硫黄感24.3%、フローラル25.4%。アンバーは食べ物でも植物でもなく、香水が発明した概念だ。
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前回測ったのは2つの語彙表の形だった。今回は材料を見る。誰が両側にいて、それにどれだけの価値があるのか。
まず3つに分ける
potential_uses を持つ7,807件:
| 件数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 香水(FR)タグのみ | 2,692 | 34.5% |
| 食品(FL)タグのみ | 1,187 | 15.2% |
| 両方あり | 1,900 | 24.3% |
| タグを解析できず | 2,028 | 26.0% |
香水だけのものは食品だけのものの2倍以上ある。
兼用の一群は明らかによく売れる
| サプライヤー中央値 | 平均 | 50社以上の割合 | |
|---|---|---|---|
| 兼用 | 11 | 20.5 | 11.2% |
| 香水のみ | 4 | 9.2 | 2.6% |
| 食品のみ | 6 | 9.9 | 1.6% |
兼用材料が「サプライヤー50社以上」に入る確率は、香水のみの4.3倍、食品のみの7倍である。
理解しにくい話ではない——2つの産業が買うものは、生産量も供給網も違ってくる。
(ただし因果の向きには注意がいる。「もともと大口の材料だから両側が見つけた」のかもしれない。この2つをデータから切り分けることはできない。)
そして兼用の内部でも非対称だ
その1,900件で、食品タグの中央値は2、香水タグの中央値は10である。
**両側で使われる材料でさえ、香水側のタグは5倍多い。**これは前回測った全体の比率(FR の総数は FL の6.5倍)と一致する。
そして両側のタグがともに15個を超えるのは 50本しかなく、上位は2つの家族に集中している。
| FL | FR | サプライヤー | 材料 |
|---|---|---|---|
| 31 | 242 | 135 | リナロール |
| 31 | 237 | 15 | coranol |
| 30 | 235 | 25 | l-リナロール |
| 28 | 160 | 193 | バニリン |
| 28 | 153 | 49 | プロペニルグアエトール |
| 19 | 118 | 76 | エチルバニリン |
| 67 | 64 | 82 | ヘキサン酸アリル |
| 52 | 45 | 54 | ラズベリーケトンメチルエーテル |
**リナロールの家族とバニリンの家族。**全庫でサプライヤーが最も多い一群そのものだ。両側で使えるものとは、誰もが持っているものである。
(最後の2本に注目してほしい。FL が FR を上回る数少ない例だ——本当に均衡した兼用材料は稀である。)
どの香調型が越境するか
この記事で最も面白い表だ。香調型ごとの兼用率(各型40件以上)。
最も高い:
| 兼用率 | 香調型 | 件数 |
|---|---|---|
| 61.7% | caramellic(カラメル) | 60 |
| 56.9% | waxy(ワキシー) | 72 |
| 54.7% | fatty(脂肪) | 75 |
| 53.1% | green(グリーン) | 375 |
| 51.2% | vanilla(バニラ) | 43 |
| 51.1% | nutty(ナッツ) | 92 |
| 49.5% | fruity(フルーティ) | 521 |
最も低い:
| 兼用率 | 香調型 | 件数 |
|---|---|---|
| 11.6% | amber(アンバー) | 43 |
| 22.5% | woody(ウッディ) | 293 |
| 24.3% | sulfurous(硫黄感) | 152 |
| 25.4% | floral(フローラル) | 767 |
| 29.1% | balsamic(バルサミック) | 203 |
**上の組はすべて食べられるものだ。**カラメル、脂肪、ナッツ、バニラ、果実——これらの語は台所に実物の対応を持つ。
そして amber は11.6%しかない。
アンバーは食べ物でも植物でもなく、原料ですらない——香水が発明した概念だ。(アンブレインとアンバーナフトフランを書いたが、あの香調は一群の合成物が共同で構成している。)アンバーの味がするものは無い。だから越境できない。
フローラルが25.4%しかないのも立ち止まる価値がある——花は香水に遍在するが、花を食べることは滅多に無い。
そして硫黄感の24.3%は別の事情だ。硫黄化合物は食品業界で非常によく使われる(0.01%の評価濃度で硫黄感が29件を占めると測った)が、その多くは食品だけで、香水側には渡ってこない。
一文で言うと
越境の向きは「そのものに実物の対応があるか」で決まる。
カラメル、ナッツ、脂肪は2つの世界で同じものを指す。fougère、chypre、amber は片方の世界にしか存在しない。
実務として
- **安くて手に入りやすい材料を探すなら兼用の一群を見る。**サプライヤー中央値11は、香水のみの3倍近い。
- **アンバー、ウッディ、フローラルを作るなら食品側に安価な供給を期待しない。**いずれも兼用率25%以下だ。
- **カラメル/ナッツ/脂肪の線は食品原料側を見る価値がある。**兼用率が5割を超え、しかも食品側の使用量規格はたいてい明快だ(ブクマーカプタンのような ppm 級の階段)。
この記事が立証していないこと
- 26.0%の記録はタグを解析できず、その山は扱っていないので、3つの割合はすべて過小評価である。
- **「兼用だからよく売れる」の因果の向きは切り分けられない。**逆に「よく売れるから両側にタグが付く」のかもしれない。
- 香調型ごとの兼用率は
odor_typeを持つ記録だけで計算しており、その欄の記入率は100%ではない。 - 「アンバーは香水が発明した概念」は私の言い方で、データベースはそう分類していない。
- **タグの多さは実際の使用量ではない。**FR タグが242個あることは、242の香調で実際に使われることを意味しない。
- どれも嗅いでいない。