はじめての調香 · 106
954件の公開処方の中央値は17本で、最大の成分が全体の4分の1を占める
· 7 分
「商業的な香水には何百もの成分が入っている」とよく言われる。手元には重複を除いた954件の公開デモ処方があり、材料数の中央値は17本、半数近く(47.5%)が10本から19本の間に収まり、30本を超えるのは11.0%、50本を超えるのは4件だけだ。成分の比率の分布も明快である。17,481の成分項の比率の中央値は2.50%、4割が1%から5%の間にあり、20%を超えるのは6.0%しかない。各処方で最大の成分が全体に占める割合の中央値は25.0%。最も実用的な数字は倍率だ。最大成分と最小成分の比の中央値は60倍——それがどんな秤が必要かを、そしてなぜ希釈液を作るのかを決めている。
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このコーパスで名称の照合はやったが、より基本的な問いをまだ立てていなかった。処方はどんな形をしているのか。
中央値は17本
954件の処方の材料数:
| 材料数 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 5–9 | 143 | 15.0% |
| 10–19 | 453 | 47.5% |
| 20–29 | 253 | 26.5% |
| 30–49 | 101 | 10.6% |
| 50以上 | 4 | 0.4% |
中央値17、平均18.3、最多57。
半数近くが10本から19本のあいだにある。
「商業的な香水には何百もの成分がある」はこのコーパスでは成り立たない。(これは香料会社が公開したデモ処方であって、市販香水を逆解析したものではない——その限界は最後に述べる。)
成分の比率
17,481の成分項の比率の分布:
| 比率 | 個数 | 割合 |
|---|---|---|
| < 0.1% | 243 | 1.4% |
| 0.1–1% | 4,120 | 23.6% |
| 1–5% | 7,002 | 40.1% |
| 5–20% | 5,061 | 29.0% |
| ≥ 20% | 1,055 | 6.0% |
中央値2.50%。4割の成分が1%から5%のあいだにある。
そして各処方で「比率が1%未満」の成分の割合は中央値15.1%——17本の処方なら、2〜3本が微量ということだ。
最大の1本が4分の1を占める
各処方で最大の単一成分が全体に占める割合:中央値25.0%、平均28.8%、そして 7.5%の処方には50%を超える1本がある。
典型的な処方には明確な主体が1つあり、そのまわりに脇役が並ぶ。
そして最も実用的な数字は倍率だ
最大成分 ÷ 最小成分:
| 中央値 | 60倍 |
| 平均 | 214倍 |
| 最大 | 9,333倍 |
| 1000倍を超える処方 | 28件(2.9%) |
この数字が必要な設備を決める。
10グラムの処方を作るとしよう。最大成分が25%なら2.5グラムだ。倍率60倍なら、最小の1本は42ミリグラムになる。
**42ミリグラムは家庭用の秤では正確に量れないことが多い。**そして2.9%の処方は3桁をまたぐ必要がある——それは秤の問題ではなく、希釈液を作らなければならない理由である。
**だからどの入門書も、まず10%と1%の希釈液を作れと言う。**鼻を守るためだけではなく(その効果もあるが)、処方そのもののダイナミックレンジが秤の分解能を超えているからだ。
最も多く現れる材料
そしてコーパス自体が「本物の入門セット」を与えてくれる——何件の処方に現れるかで並べる:
| 件数 | 割合 | 材料 |
|---|---|---|
| 445 | 46.6% | dipg(ジプロピレングリコール、溶媒) |
| 338 | 35.4% | リナロール |
| 317 | 33.2% | 酢酸ベンジル |
| 274 | 28.7% | フェネチルアルコール |
| 218 | 22.9% | シトロネロール |
| 218 | 22.9% | クマリン |
| 207 | 21.7% | 酢酸リナリル |
| 192 | 20.1% | ゲラニオール |
| 165 | 17.3% | Hedione |
| 160 | 16.8% | ヒドロキシシトロネラール |
| 159 | 16.7% | サリチル酸ベンジル |
| 157 | 16.5% | オイゲノール |
| 157 | 16.5% | α-ヘキシルシンナムアルデヒド |
| 150 | 15.7% | Lilial |
| 139 | 14.6% | ヘリオトロピン |
| 139 | 14.6% | ジヒドロミルセノール |
| 132 | 13.8% | パチュリ油 |
| 131 | 13.7% | ベルガモット油 |
この18本は、このシリーズですべて記事を書いている。(計画したわけではない——別の理由で1本ずつ選んできた結果だ。)
**そしてこの一覧は第95回の失敗と並べる価値がある。**あのとき私は公式の配合提案から入門セットを計算しようとして、16本すべてが caramellic の反響室を得た。
**今回は計算する必要がない。数えるだけでよい。**そして数えた結果は完全に妥当だ。溶媒1本、基本的な花系のアルコールとエステルが4本、クマリン、Hedione、サリチル酸エステルとアルデヒドが2本、パチュリとベルガモット。
「どの材料がよく使われるか」という問いには、配合提案のネットワークより処方コーパスのほうがはるかによく答える。
実務として
- **17本は妥当な目標だ。**処方は複雑でなければ本物でない、と思わないこと。
- **まず4分の1を占める主体を決める。**残りは修飾である。
- **10%と1%の希釈液を作る。倍率が60だからだ。**こだわりではなく算術である。
- **上の18本がそのまま購入リストになる。**誰かの意見ではなく、954件から数えた結果だ。
この記事が立証していないこと
- これは香料会社の公開デモ処方であり、ある材料の使い方を示すためのもので、**市販香水の実際の処方ではない。**本物の商業処方はもっと複雑かもしれないし、もっと単純かもしれない——データを持たない。
- デモ処方は「見せたい材料」に系統的に偏るので、あの頻度一覧には偏りがある。
- 比率は記載された数字から計算したが、溶媒を省いた処方もあり(87.4%は溶媒を1つも挙げていない)、あの百分率は「挙げられた成分のあいだでの」比率である。
- 材料名は正規化していないので、同じ材料の別表記(その問題は測った)は別々に数えられる——真の頻度はもっと高い可能性がある。
- **「42ミリグラムは量れない」はあなたの秤による。**あれは説明のための算術であって仕様ではない。
- ここにある処方を私は1つも作っていない。